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強まるEVへの逆風「グラフで見る」テスラの苦境 値下げでも台数増えず、営業利益率は3分の1に

東洋経済オンライン / 2024年8月4日 9時30分

共和党のドナルド・トランプ候補は現行のEV普及政策を廃止する方針を掲げる。2022年8月に成立したIRA(インフレ抑制法)では、一定の要件を満たす場合、EVの購入者が最大7500ドル(約115万円)の税額控除を得られる。11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利すれば、EVに冬の時代が到来する可能性は高い。

現状「モデル3」「モデルX」「モデルY」が税額控除の対象となっているテスラ。イーロン・マスクCEOはIRAが廃止された場合の見通しについて、「テスラに多少の影響はあるだろうが、競合他社には壊滅的だろう。長期的にはIRAの廃止はテスラにとって助けになると思う」と強気の姿勢を示すが、税額控除が打ち切りとなれば短期的な打撃は免れない。

足元では最大のライバルである中国BYDに迫られている。四半期ごとのEV販売台数では両社の差はほとんどなくなった。BYDはEVの他にPHV(プラグインハイブリッド車)も手がけている。そのPHVの販売が好調なこともあり、総販売台数ではBYDが圧倒している。

新型車やロボタクシーに期待

今後を左右するのは新型車の投入。2025年前半に安価モデルを含む新型車の生産を開始する予定だ。この新型車は、次世代プラットフォームと現行プラットフォームの両面を利用し、現在の車両ラインナップと同じ生産ラインで生産することができるという。予定通りに投入できるか、期待通りに売れるか、ともに未知数だ。

発表延期となったロボタクシーも、株式市場から熱い視線を向けられている。マスクCEOは4月に、X(旧Twitter)で8月8日にロボタクシーを発表するとしていたが、現在は10月10日まで延期することが示されている。マスクCEOは延期の理由について、「車両を改善する重要な変更を加えたかったから」と決算説明会で説明した。

PwCコンサルティングは、完全自動運転タクシーが生み出す収益が、現状のほぼゼロから2035年には世界で約70兆円に拡大すると予測している。技術的制約や安全性の課題も多そうだが、いち早く実現化にこぎ付ければ先行者利益を得られるだろう。

テスラに対する株式市場の熱狂は冷めてきている。とはいえ、予想PER(株価収益率)は90倍近くあり、依然として期待先行といえる。創業期から長く続いた赤字期間や量産立ち上げの「生産地獄」を乗り越えてきたマスクCEOとテスラは、逆風の中、再び舞い上がることができるのだろうか。

村松 魁理:東洋経済 記者

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