トランプ政権なら円相場や日本株はどうなるのか 移民の抑制でアメリカは「インフレ再燃」も
東洋経済オンライン / 2024年8月4日 10時30分
もちろん今回もそうなるかは不透明だが、トランプ政権がエネルギー価格抑制に力を注ぐことが確実視される状況で、「トランプ=インフレ再燃」と直接結び付ける思考には距離を置いた方が良いかもしれない。言うまでもなく、エネルギー価格低下は日本経済にとって恩恵が大きい。交易条件改善によって企業収益は押し上げられ、日本株に好影響を与えるだろう。
トランプ政権誕生での中長期的なリスク要因とは?
最後にトランプ政権が誕生した場合に想定すべき中長期的なリスク要因に触れておきたい。それは移民の抑制によるインフレの再燃だ。CBO(アメリカ議会予算局)の試算によると、移民流入数は2023年と2024年にそれぞれ年間330万人程度となった後、2025年以降は漸減し、第一生命経済研究所の試算によれば2027年には110万人程度になる。
また同研究所は、トランプ政権が移民抑制に動いた場合、2027年における移民の純流入はプラス50万人と第1次トランプ政権(2019年:プラス42万人)と同程度まで低下すると試算している。
さて、こうした移民の減少が為替にどういった経路を通じて波及してくるのだろうか?その点、筆者は「安価な労働力」という視点に重きを置いている。現在も続くインフレの根幹にあるのは、人手不足に起因する労働コストの高止まりだが、それを快方に向かわせているのは移民という労働力である。すなわち移民の流入は労働市場の逼迫を和らげ、賃金上昇圧力を減じ、インフレ沈静化に貢献していると考えられる。
したがって、移民抑制は「労働供給の減少→賃金上昇→インフレ再加速→引き締め的な金融政策の長期化→アメリカ株下落」という結果をもたらすだろう。その場合、世界的な株価下落に発展する可能性がある。
藤代 宏一:第一生命経済研究所 主席エコノミスト
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
米大統領選前の株安、トランプ候補は望むところ!?…“もしトラ相場”を乗り切るための「投資行動」とは【マクロストラテジストの見解】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月3日 10時15分
-
トランプMAGAでどうなる新NISA【Bizスクエアで学ぶ投資のキホン#22】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月1日 6時0分
-
トランプ銘柄に押し目買いの好機?バイデン氏撤退でもトランプ氏優位動かず、三菱重工やスズキなど候補6選
トウシル / 2024年7月24日 11時0分
-
トランプ相場で半導体株急落!AIバブル崩壊?バイデン氏撤退で反転上昇?
トウシル / 2024年7月22日 13時34分
-
相場展望7月18日号 米国株: ナスダック・半導体株指数の急落は、「夏の調整入り」示唆か? 日本株: 半導体株が軒並み安・急激な円高が株式相場に大きなマイナス
財経新聞 / 2024年7月18日 11時50分
ランキング
-
1国鉄の“やる気のなさ”が元!? 個室寝台「シングルデラックス」改良史 いまや特急「サンライズ」に残るのみ
乗りものニュース / 2024年8月4日 7時12分
-
2【BIC SIM】ギガプランの月額料金を6ヵ月間500円割引、店舗契約限定でビックポイント10,000ポイント還元・初月無料キャンペーンを実施
PR TIMES / 2024年8月1日 15時15分
-
3円安と物価の背後に日銀が利上げを急いだ「もう一つの理由」 住宅ローン金利や為替相場の行方は?
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月4日 7時0分
-
4松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
5セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 10時5分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください