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製紙大手2社の姿勢試すエクアドルでの労働問題 取引先企業で浮上の「強制労働疑惑」にどう対処

東洋経済オンライン / 2024年8月5日 8時30分

日本製紙は「守秘義務の観点から回答を控える」とだけコメントし、取引関係の有無すら明かさなかった。しかしマヴェンズは日本製紙との取引を認めている。日本製紙は情報開示の乏しさが際立つ。

2社も国連の指導原則を支持して人権方針を策定しているが、この問題にどこまで向き合ったのか。小保方氏は、「古川拓殖側の意見のみを聞いたということであれば対応は不十分。被害を訴える側の話を聞くのが重要だ」と指摘する。

伊藤忠商事との古き縁

先述したように小保方氏らがまとめた声明文は、FPCが60年以上にわたって強制労働などの深刻な人権侵害を行っていると指摘していた。そうなるとクローズアップされる日本企業がもう1社出てくる。総合商社の伊藤忠商事だ。

1963年にFPCを設立したのは古川義三氏。伊藤忠の創業者、伊藤忠兵衛の妻の甥だ。1910年代に古川氏が立ち上げたのが古川拓殖で、フィリピンでアバカの栽培を行っていた。敗戦によってフィリピンの農園が没収された後、古川氏はエクアドルに新天地を求めた。

伊藤忠の広報部によると、「古川拓殖へ資本参加を過去行っていたが現在、資本関係はない」「FPCへの資本参加も行っていたが1978年に売却しており、資本関係はない」。

ただ、FPCの元幹部で古株的存在だったM氏は、短い期間とはいえ伊藤忠エクアドル社で幹部を務めていた。先述したように刑事手続きが進んでいる中、その対象者の1人になっている。伊藤忠の広報部は「古川拓殖、(すでに退職している)M氏ともに現在は当社と関係がないためコメントを差し控える」とする。

FPCを巡る問題では、日本企業の「ビジネスと人権」に対する姿勢が試されているといえる。人権方針の制定など関連施策を推進してきた企業は多い一方、横並びの対応で実態が伴っていないのではないかとの批判があった。頬かむりを決め込んだと見られないような対応が望まれる。

大塚 隆史:東洋経済 記者

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