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「やる気をあてにしない」キーエンスが高収入な訳 社員の属人性に依存しない「仕組み化」が強み

東洋経済オンライン / 2024年8月5日 11時0分

そのために、ルールを守ることに対する社員のモチベーションの高さが異なります。そこにはルールを守ることに対する信賞必罰や、仕組み化が有効であることを確認す化を行える組織であるべきです。

仕組みを守ることが当然の風土

かといって、キーエンスでは四六時中「仕組みが、仕組みが」と唱えられているわけではありません。仕組み化することや仕組みを守ることが当然になっているためです。

そのため何か問題が発生すれば、当事者である個人のスキルや能力を責める前に、まずは仕組みに問題がなかったかが問われます。また、キーエンスには結果だけでなくプロセスも評価する仕組みがあります。

たとえば、営業は一定の行動量をこなしていればいずれは結果が出ることがわかっています。そのため、成約数や売上金額だけでなく、アポ数や面談数といった途中の行動量も評価されます。

ですから、たとえ今月の売上が今ひとつだったとしても、面談数が目標を達成できていれば、努力をしていると評価されます。売上には時間差が生じているだけかもしれないからです。

逆に売上が良かったとしても、行動量が達成されていなければ、その理由は厳しく問われます。行動量が伴っていない売上はまぐれの可能性があるためです。ところで仕組みは実施する人たちだけが考えるものではありません。キーエンスでは本社側で仕組みを作ることが多いのです。実際、私も本社にいたときには、いわゆる評価項目を設計したり変更したりするといった仕組みづくりに従事していました。

そして常に仕組みが有効であるかどうかをチェックして、不要な仕組みは削除しますし、有効な仕組みはより広く浸透するように働きかけていました。またキーエンスでは優れた成果を出している人のやり方を横に展開する文化がありました。そのやり方が組織的に採用できると評価されれば、そのやり方を考案した人も評価されます。

そのために、商談が成立した場合は成功の要因をメールで部全体に公表することが習慣化されていました。このようにして、常に優れたやり方を組織で共有していたのです。企業によっては業績の良い人がそのやり方を真似されたくなくて自分だけで囲い込んでいる状況が多いかもしれません。

しかし優れた仕組みを考案した人が評価されたり、組織の業績がメンバーの評価につながったりする仕組み自体を持っているキーエンスでは、そのような心配はありませんでした。たとえ新人からでも、学ぶべきことがあれば先輩たちも素直に学ぶ風土があります。

仕組み化とは「マネジャーの仕事を軽くすること」

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