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業績絶好調のトヨタ「超円安から円高」でどうなる 1ドル145円は想定内。中国と信頼回復が課題

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 8時0分

不正が響いた国内、競争激化が著しい中国で台数を落とす中、販売が好調だったのは北米。主力車種の1つがスポーツ多目的車(SUV)の「RAV4」(写真:トヨタ自動車)

相次ぐ不正をモノともしない好調決算だった。

【グラフで見る】販売台数、利益とも苦戦する中国事業

トヨタ自動車が8月1日に発表した2025年3月期第1四半期(2024年4~6月)決算は売上高に当たる連結営業収益が前年同期比12.2%増の11兆8378億円、営業利益は同16.7%増の1兆3084億円だった。

第1四半期の営業利益として過去最高となる(以下、増減は前年同期比)。

一方、連結販売台数(主に中国を除くトヨタ・ダイハツ工業、日野自動車)は225.2万台と3.2%減少した。認証不正によるダイハツの生産停止などが響いた。中国を含むグループ総販売台数は263.6万台と4.2%減だった。

ただ、高価格帯が多いハイブリッド車(HV)の販売台数は海外中心に好調で99.8万台と過去最高を記録した。

超円安の追い風が吹いた4~6月

販売が振るわなかったにもかかわらず、最高益更新の要因となったのが為替だ。トヨタの場合、年間で1ドル1円円安に振れると500億円の増益効果がある。超円安が進んだ4~6月はドルだけで前年同期より19円の円安となった。他通貨も合わせて為替による営業利益の押し上げ効果が3700億円あった。

さらに原価改善効果とサービスなどバリューチェーン売り上げの増加を含む「営業面の努力」が約1250億円プラスに働いた。認証不正による国内生産台数の減少や賃上げなどによる労務費増加、部品メーカーへの支援費用増を補った。

ただし、円安効果を除外すれば16.3%減益だったともいえる。

通期業績予想については「まだ3カ月で見直す段階にない」として、営業利益で19.7%減益の期初計画を据え置いた。足元では1ドル145円前後と急速に円安が修正されているが、トヨタの期初計画はもともと1ドル145円が前提である。

販売面で課題となっているのが中国だ。

4~6月の中国事業におけるトヨタ・レクサス販売台数は18%減の41.1万台だった。テスラに加えて、BYDを筆頭に中国メーカーがEVやプラグインHVを次々と投入しており、「値下げ合戦になっている」(トヨタ系部品メーカー幹部)。

トヨタの中国事業における連結子会社の営業利益は17%減の446億円、持ち分法による投資損益は73%減の149億円と苦戦を強いられている。

中国は現地企業との協業で打開

トヨタも体制再編や開発強化で対抗しようとしている。

昨年夏には中国事業で1000人の期間契約従業員の契約を満了前に終了した。中国の開発組織についても、BYDや第一汽車、広州汽車などの合弁会社の人材が参画する体制に改めた。トヨタ幹部は「基本的に中国は現地での開発を強化しないと競合企業に追いつけない」と危機感を示す。

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