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中国電池CATL、「EV販売減速」でも増益確保の底力 原料コストの低下が寄与、逆風下でシェア拡大

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 18時0分

CATLはEV向け車載電池で世界シェア首位を独走している。写真は同社の電池生産ライン(CATLのウェブサイトより)

中国の自動車市場でEV(電気自動車)の販売が伸び悩む中、車載電池で世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が底力を見せている。

【写真】香港のフォーラムで講演するCATLの曽毓群・董事長

同社は7月28日、2024年1~6月期の半期決算を発表。それによれば、上半期の売上高は1667億7000万元(約3兆5401億円)と前年同期比11.9%の減収だったが、純利益は228億6000万元(約4853億円)と逆に10.4%の増益を確保した。

車載電池の売上高2割減

上半期の売上高減少の主因は、EV市場の過当競争の影響で(車載電池の買い手である)完成車メーカーからの値引き圧力が強まったことだ。CATLの車載電池部門だけで見ると、1~6月期の売上高は1126億5000万元(約2兆3913億円)と前年同期比19.2%減少した。

それでも増益を確保できたのは、原材料コストの低下の恩恵が大きい。リチウムイオン電池の主要原料である炭酸リチウムの1~6月期の平均市場価格は、前年同期比7割近くも下落した。

その結果、電池の製造原価が大幅に下がり、車載電池部門の1~6月期の粗利率は26.9%と前年同期より6.55ポイント改善。売上高の減少を補って余りある利益を生み出した。

新車への電池の搭載量ベースで見ると、CATLの市場シェアは(売上高の減少にもかかわらず)むしろ上昇している。

韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、2024年1月から5月までのグローバル市場でCATLは37.5%のシェアを確保し、前年同期を2.3ポイント上回った。同社は(再生可能エネルギー発電などの電力を一時的に蓄える)蓄電システム用電池でも世界首位を独走中だ。

だが、先行きについては不安もつきまとう。車載電池業界では過去数年間に新規参入が相次ぎ、新たな生産設備が続々と稼働している。そんな中、EVの販売鈍化(による需要不足)と電池業界内の競争激化により、設備稼働率が急低下しているからだ。

CATLも例外ではない。決算報告書によれば、同社の1~6月期の電池生産能力(容量ベース)は323GWh(ギガワット時)に達したが、実際の生産量は211GWhにとどまった。設備稼働率は65.3%であり、2023年通期の70.5%から5ポイント余り下がった。

新工場の稼働を延期

既存の生産能力に加えて、CATLは中国内外で合計153GWh相当の生産ラインを建設中だ。

「それらの半分近くは(ヨーロッパ市場の需要に対応する)ハンガリー工場のものだ。わが社の設備稼働率は穏やかに上昇していく。投資家は市場の臆測に振り回されないでもらいたい」

同社は決算説明会でそう述べ、設備稼働率のさらなる低下に対する懸念の払拭に努めた。

とはいえ、これまでのような急速な拡大路線の修正は避けられない。CATLは決算発表と同じ日の投資家向け情報開示で、過去に公表した投資プロジェクトのうち1件の延期を明らかにした。

具体的には、子会社の瑞慶時代新能源科技が広東省肇慶市で建設中の新工場のプロジェクトだ。当初は第1期の竣工時期を2024年6月としていたが、それを2026年12月に先延ばしする。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は7月27日

財新 Biz&Tech

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