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航空自衛官を辞めた「アイドル」が手にしたもの 「安定の公務員」捨て"収入激減"も得たものは?

東洋経済オンライン / 2024年8月12日 9時1分

自衛隊時代の休日には足しげくアイドルのイベントへと通っていた(撮影:カネコシュウヘイ)

元航空自衛官で、アイドル。厳しくも鍛えられた自衛隊での延べ3年を経て、アイドルグループ「点染テンセイ少女。」の空士ヒマリは「笑顔を守る仕事から、生む仕事」へと転職した。

その意外なキャリアには、興味をそそられる。自衛官候補生、自衛官を経て上京し、アイドルとなった彼女の歩みにあったものとは。

*この記事の前編:「航空自衛官→アイドル」元公務員女性の大胆決断

自衛隊を退職するため「嘘」を

高校卒業後は上京を願ったものの、元陸上自衛官の父から「3年間、自衛隊での1任期を満了したら好きなことをやっていい」と言われたのをきっかけに、自身の進路を決めた。

【異例の転身!今でも自衛隊流で「1200」を「ヒトフタマルマル」と読んでしまう】「航空自衛官→アイドル!」元公務員女性・空士ヒマリさん、その素顔

地元を離れて、教育隊に所属した自衛官候補生としての3カ月。さらに他の地方へと移り住んだ航空自衛官としての2年9カ月を経て、無事に「1任期」を満了。

ただ、退職では、わずかばかりの苦労もあった。芸能関係に進むと伝えれば「続かないから辞めろ」と言われてしまうと考えて「嘘」をついた。

航空自衛隊の当時は「次の就職先を決めないと、辞められなかった」という。しかし、アイドルを目指すとは伝えられない。そこで、「意外な手段」に打って出た。

「基地に常駐する当番の日に『就職後の連絡先を教えてもらわないと、帰れないよ』と迫られ、無言を貫いたこともあって。頼ったのが、出身地の富山県でお世話になっていたアルバイト先のタコ焼き屋さんでした。いつか『連絡が来るかもしれない』と事前に伝えて、退職後には少しだけ働いていました」

「安定の公務員」から環境がガラッと変化

退職して、夢をつかむために上京。1年ほどは、アルバイトをしながらオーディションを受け続けた。

しかし当初は、「安定した公務員」からの転職で「収入への不安もあった」という。

「自衛隊は寮生活で衣食住が保障されていたし、もともと、地元でも実家暮らしだったので、独り暮らしをはじめた頃は苦労しました。退職金を含めた貯金を切り崩し、引っ越し代や家賃、光熱費を工面して。右も左もわからず、ガスの契約を知らず、お風呂でお湯が出ずに『冷たい水しか出ない』と母に電話したこともあります(笑)」

生活のすべてにおいて「お金がかかるとは知らなかった」と回想。しかし、上京から5年ほど経過した今では「すっかり慣れた」とほほ笑む。

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