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「認知症とお金」症状が進んだ時の医療・ケア費は? 骨折や脳卒中などを合併したら負担はさらに増

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 9時1分

いま紹介した金額は、いずれも健康保険や介護保険が適用される前の金額。医療費と公的介護にはそれぞれ公的保険が適用されるので、自己負担は1~3割となる。

このほか、ひと月の医療費の自己負担が、年齢や収入に応じて設定される限度額を超えたぶんは、あとで払い戻される制度(高額療養費制度)もある。高額な介護費用と合算して限度額を設ける制度(高額医療・高額介護合算療養費制度)もあるため、実際に支払うのは1~3割よりも少ない。

ポイントは、認知症が進行していくほど、医療費よりも介護、ケアにかかる費用や手間の問題が大きくなるということだ。実際、先の図を見るとインフォーマルケアコストや、ヘルパーなどによる公的な介護費のほうが圧倒的に多くなる。

その背景には、認知症の進行に伴う症状の変化がある。認知症が進むと自分でできることが少なくなるため、日常生活におけるさまざまな場面で介助が必要になるケースが増えるのだ。

公的な制度である介護保険は2000年から始まった制度で、市町村が認定した要介護度に基づき、利用者はニーズに応じたサービスを受けられる。通常は、要介護度をもとにケアマネジャーが通所介護(デイサービス)や訪問介護といったサービスケアプランを作成し、それにそった介護サービスを受けることが多い。

家族介護の負担が大きい日本

ただし、介護サービスは内容や回数などに限りがあるため、そこに当てはまらない介助に関しては、「インフォーマルケア」として誰かが担う必要が出てきてしまう。

厚生労働省の調査(2022年国民生活基礎調査)によると、要介護者(認知症以外を含む)を介護しているのは、同居の家族・親族が5割弱。別居の家族らを含むと、ほぼ6割で家族・親族が担っていることになる。

加えて、介護する人の半数以上は60歳以上である。「介護を担う人の多くはすでにリタイアしているか、そもそも働いていない可能性があります」と五十嵐さんは言う。

もう1つ、認知症が進むほど深刻になってくるのが、認知症があることで心身にさまざまな問題が起こる、という点だろう。

20年にわたり高齢者の在宅医療に取り組む、たかせクリニック(東京・大田区)理事長の髙瀬義昌医師によると、認知症の高齢者では感染症、脳卒中、骨折などで入院するリスクが高まる。入院が長引いたり、体が動かない期間が延びたりすると、認知症が悪化する「負のスパイラル」に陥りかねないという。

注意したい感染症は、誤嚥(ごえん)性肺炎。口の中にいる細菌が、誤って唾液とともに肺のほうに入り込んで起こる肺炎だ。

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