JAL出身社長解任劇から1年、「空港施設」の現在地 初のプロパー出身社長が就任2年目で語った
東洋経済オンライン / 2024年8月13日 8時50分
国交省OBによる人事介入問題や大株主である日本航空(JAL)出身の社長を解任したことで1年前に注目を浴びた「空港施設」。混乱の中、プロパー出身者として初の社長になったのが田村滋朗氏だ。就任2年目に入った田村社長にガバナンス改革の進捗状況などを聞いた(インタビューは文末)。
空港施設は羽田空港周辺で空港関連施設やオフィスビルの賃貸、冷暖房の供給などを行っている。東証プライム市場に上場、時価総額が約300億円(8月9日時点)の企業だ。一連の問題の余波は続き、今年6月の定時株主総会を前に、アクティビスト(物言う株主)から株主提案を受けた。
提案を出したのは香港の投資会社リム・アドバイザーズ。JALとANAホールディングスからの「天下り」を役員として受け入れることを禁止する、などの内容だった。空港施設の副社長はJAL出身とANA出身の2人だ。
今年の株主総会は無風で終わった。リムが出した6つの提案の賛成率は2〜12%にとどまり、すべて否決された。JAL、ANA、日本政策投資銀行の大株主3社は、株主提案に反対することが確実だった。計19%超を保有する個人株主も、JALとANAからの天下り役員体制を支持した格好だ。
上場企業にふさわしい取締役指名か
重要なのは、空港施設のガバナンス改革がこの1年間でどれほど進んだのかだ。昨年12月に役員の指名方針を改訂し、「出身母体の存在や権限を示唆して不当な圧力や不適切な要求を行うこと、およびその働きかけに応じること」を禁止事項に定めるなど、一定の取り組みは行っている。
だが、国交省OB人事介入問題を受けて設置された独立検証委員会で委員長を務めた八田進二氏(青山学院大学名誉教授)は、「空港施設のここ1年間のガバナンス改革をどう評価するか」という東洋経済の質問に対し、このように答えた。
「上場企業にふさわしい正当な取締役指名がなされてきたようには見えない。従来どおり、利益相反が疑われる主要株主(JALとANA)に役員ポストを用意している」
空港施設にとってJALとANAは大株主であると同時に主要取引先でもある。コロナ禍ではJALやANA向けに賃貸用不動産の賃料や冷暖房の減免を空港施設が行っていた。そのような関係にある2社出身の取締役を今年も再任案として株主総会に出したことを八田氏は問題視している。
また空港施設は、2028年度までに事業利益の5割を空港外で稼ぎ出す方針を掲げる。目下、注力しているのは、オフィスビルを取得・改修して売却する回転型不動産事業だ。JAL・ANA出身者の役員選任はこの経営戦略に合致したものなのだろうか。
この記事に関連するニュース
-
「浜松・浜名湖フェア in 羽田産直館」を開催
PR TIMES / 2025年1月7日 15時45分
-
「浜松・浜名湖フェア in 羽田産直館」を開催
Digital PR Platform / 2025年1月7日 14時15分
-
なぜJALはパイロットの飲酒問題を繰り返すのか 意識改革ならず、再発防止策はまた機能せず
東洋経済オンライン / 2025年1月7日 7時30分
-
「羽田新ルート」強行開設の理由は「発着便数UP」じゃない? 語られぬもう一つの“要因” とは
乗りものニュース / 2025年1月2日 8時12分
-
相次ぐJAL機長の飲酒問題で矢面に…鳥取美津子CA出身社長に問われる手腕(小林佳樹)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月21日 9時26分
ランキング
-
1裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
-
2「馬上、枕上、厠上」がキャリア形成にも重要な理由 「1人になれる時間」は本来いくらでも存在する
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
-
3なぜ繁忙期も「あの同僚だけ残業せずに帰れる」のか? デキル人が無意識に使う思考パターン
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月15日 8時10分
-
4理想の体形や収入がいつまでも手に入らない理由 強い願いも「無意識」に打ち負かされてしまう
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時15分
-
5なんでまだ働いているんだろう?…ブラック企業を「辞めない人」の理由【行動経済学】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください