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ネット証券5社の牙城を崩すPayPay証券の破壊力 破竹の勢いで口座数伸びるが収益力で課題残す

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 8時30分

商品選定も他社とは一線を画す。SBI証券や楽天証券では取り扱う投資信託の本数が2600本程度なのに対し、PayPay証券はわずか128本。国内外株式などを含めても取り扱い銘柄数は481しかない。

番所社長は「ほかのネット証券は株と投資信託を合わせて1万3000くらいの銘柄を提供しているが、投資初心者がその中から最適な運用商品を探し出すのは難しい。スマホの操作性の観点からも、支持を得られる商品を厳選して取り揃えている」とし、現状の銘柄数が「投資のスタート地点において十分な数」だと強調する。

送客機能を果たす「ポイント運用」

PayPayからの送客機能として大きな役割を果たしているのが「ポイント運用」だ。PayPayポイントを使って5つのコースから疑似的な投資運用を行えるサービスで、口座を開設しなくても利用できる。利用者数は1700万人を超え、足元ではPayPay証券で新規に口座開設する9割がポイント運用経験者だという。

「ポイントなので現金が減るかもしれないという不安を持つことなく運用体験を始められる」(番所社長)。ポイント運用の利用者に実際の資産運用サービスを案内することで総合口座やNISA口座の開設につなげており、「PayPay経済圏と連携することでマーケティングコストがほとんどかからない構造になっている」ことも大きな強みだ。

2024年6月末で総合口座数は117.7万にのぼり、昨年度の1年間だけで52.2万口座から107.7万口座へと倍増させた。今年度中の200万口座達成を視野に入れており、実現すれば5位の松井証券(157万)、4位のauカブコム証券(173万)を抜き去る公算が大きい。2強のSBI証券(1293万)、楽天証券(1133万)とは距離があるものの、3位のマネックス証券(262万)も射程にとらえることになる。

NISA口座に関しては「今年度中に(3番手のマネックスに)追いつく、追い越すくらいの数字を目指している」(番所社長)とし、こちらは早々に2強に次ぐ3番手の地位を手中に収める構えだ。

一方で、収益性の観点では課題を残している。

前身のOne Tap BUYをPayPay証券に名称変更したのは2021年2月。以来、赤字が続いており、「数年以内に(単年度黒字を)達成できるところまで来ている」(番所社長)と言うが、達成時期については明言を避ける。

PayPay証券は、顧客の預かり資産を増やすことで収益の拡大を目指すストック型のビジネスを志向している。だが、現時点では投資初心者によるNISAでの運用が軸になるので、どうしても1人当たりの投資額が小さい。そのうえ、投資信託の信託報酬が極限近くまで下がる中では、顧客を爆発的に増やさなければ収益化を図ることは難しい。

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