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「リンゴの落下から万有引力を発見」実は間違い? ニュートンの逸話に隠された「なるほど物理学」

東洋経済オンライン / 2024年8月14日 18時0分

ここで、「重力」と「万有引力」は同じものなのか、それとも別のものなのかという疑問をもつ人もいるでしょう。なので、万有引力と重力という用語について説明を加えておきます。

地球は自転しているので、あらゆる物体は「遠心力」を受けています。遠心力とは、円運動をすることにより生じる慣性力(見かけの力)のことをいいます。

この遠心力と万有引力を合わせた力が、地表での重力です。

物体の落下の向きは地表での重力の方向になります。したがって、実は物体は、赤道と北極、南極を除いては、地球の中心からほんのわずかにずれた方向に落ちていくのです。

学校で習う物理学ではよく、重力という言葉を、この地球上の物体の間に働く力に限定して使うことがあります。しかし、理論物理学で重力といったときには、往々にして万有引力のことを意味していることも多いです。

月は「落ち続けている」の真相

ここで、ニュートンが万有引力を発見したときの話に戻ります。

「リンゴが木から地面に落ちるのも、月が地球の周囲を回るのも、同じ万有引力が原因であると見抜いた」とは、一体どういうことでしょうか。

まず、地面から空中に向かって、斜め上の方向へボールを投げるのをイメージしてみてください。ガリレオが発見したように、ボールは放物線を描いて地面に向かって落下していきます。

ここでもし、万有引力が働いていないとすると、ボールは落ちずに斜め上の方向に直進し続けるはずです。しかし、万有引力により、ある点を頂点に下降し始めます。

では、次に、月の運動について考えます。

もしも地球からの万有引力がなければ、月は慣性の法則に従い、運動の速度と方向を保ったまま、地球の周囲に留まることなく、まっすぐに飛び去ってしまうはずです。

しかし、万有引力によって地球に引っ張られているため、月は進行方向を変えられてしまいます。つまり、慣性の法則に従った直進の経路と、実際の円運動の軌跡との差の分だけ、月は常に落下し続けていると考えることができます。

ここで、「投げたボールは地面に落ちるのに、月が地上に落ちないのはなぜ?」と疑問をもつ人もいますよね。

投げたボールが地面に落下してしまうのは、ボールの軌跡が地面と交わってしまうからです。

地球は球なので、地面は平坦ではなく実は曲がっています。そこで、ボールの速度をどんどん上げていき、遠くまで飛ぶようにすれば、ボールの落下の幅と球面である地面の下がる幅が一致し、ボールと地面との距離は縮まらなくなります。

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