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残りわずか「和製スマホメーカー」たちの生き様 レノボ傘下で再始動のFCNT、シャープの新たな一手は

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 8時0分

スマホの価格が全体的に高騰する傾向がある中、「arrows We2 Plus」は性能比でコストパフォーマンスを高めた点も特徴がある。価格は5万9950円(税込み、以下同)だが、楽天モバイルでは4万9900円で販売するなど、販路によってはより安価に購入できる場合もある。性能と価格に敏感な若年層を意識した商品企画を行っているという。

レノボとの連携は、グローバルな部材調達ネットワークを活用してコスト競争力を高めているうえで奏功した。技術面ではレノボグループのモトローラ・モビリティ本社の開発部隊と深く連携しており、カメラや音響技術の改善においてモトローラの知見を取り入れるなど製品改善につなげているという。

レノボからFCNTに派遣された桑山泰明副社長は、「FCNTの製品には説明しきれないほど多くの特徴がある」と話す。「レノボグループになった初日から、FCNTの製品のユニークさをレノボに認めてもらった」と桑山氏。この相互理解が、日本市場に特化した製品の開発と、グローバル企業の強みを活かすという2つの軸を両立させる基盤となっているようだ。

デザイン刷新で海外展開を進めるシャープ

シャープは日本発のスマートフォンブランド「AQUOS」の再始動を宣言し、グローバル市場を見据えた新しいデザインコンセプトを採用した。「AQUOS R9」と「AQUOS wish4」の両機種は、この新しいブランドイメージを体現する製品だ。

シャープのパーソナル通信事業部事業部長、中江優晃氏は、新機種を「本当の意味でのグローバルへの挑戦」と位置付けている。多くの日本メーカーが撤退する中、シャープは日本のスマホが世界で通用すると考え、海外進出への意欲を示している。

新デザインは「miyake design」とのコラボレーションで生まれた。シャープ 通信事業本部本部長の小林繁氏は、「グローバルでやるうえで、日本の良さを我々もわかっていない。そのため、デザイナーの三宅さんにご協力いただいている」と語る。三宅一成氏率いる「miyake design」は、現代的でありながら日本らしさを表現することに長けたデザイン事務所だ。

シャープはこれまで台湾とインドネシアでAQUOSの販売実績があり、2023年にはこの2ヵ国での出荷数量が前年比2倍になった。今回の新機種では、これらの国に加えてシンガポールでの販売も予定している。

シャープ製品の特徴である耐衝撃性や防水性能は、海外での販売パートナーからも評価が高い。小林氏は「海外で売られている端末は精緻に作られているが、割れやすかったりする。防水も、石けん水で洗えるようなものは聞いたことがないと驚かれる」と語る。

独自の強みを活かし、グローバル市場の要求に適応

一方で、海外市場のニーズを踏まえ、「AQUOS R9」では大音量・低音重視のスピーカー設計を行い、「AQUOS wish4」では大きいディスプレイを採用するなど、グローバル市場の要求に適応している。

海外市場のニーズを踏まえて強化した要素もある。「AQUOS R9」の大音量・低音重視のスピーカー設計を行った。「AQUOS wish4」の大きいディスプレイは、海外市場でのニーズを見込んで取り入れた要素だ。

耐衝撃性や防水性能へのこだわりが海外から高く評価されている一方で、オーディオ性能はグローバル市場のレベルへキャッチアップしているという点では、FCNTとシャープで共通している。日本のスマホメーカーが厳しい競争環境に置かれる中、FCNTとシャープは独自の強みを活かしつつ、グローバル市場の要求に適応することで生き残りを模索している。

石井 徹:モバイル・ITライター

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