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「交際経験ゼロ」40歳の彼が結婚に辿り着いた軌跡 ただ「スン…と生きていた」人がつかんだ結婚生活

東洋経済オンライン / 2024年8月18日 12時0分

あえて赤の他人と出会うことに決めた千恵さん。まずは1カ月間だけマッチングアプリを試し、結果が出ないようならば結婚相談所に入会すると決めた。37歳のときだった。

「ボヤボヤしながら歳を重ねるつもりはなかったので、アプリも最初から有料コースにしました。女性は無料利用が多いのですが、真剣度を相手に伝えたいと思ったからです」

相手に求めたのは2点。1点目は、年収500万円以上の正社員であること。千恵さんは「お父さんが偉い」という家庭で育ったため、結婚したら自分が外で働き続けるか否かを配偶者の判断に委ねるつもりだったからだ。

2点目は「ユーモアに富んだコミュニケーションができること」だ。これは1点目より難易度が高いと筆者は思う。会話の楽しさや立ち居振る舞いのスマートさをお見合い相手などに求める独身女性は多いが、異性との接し方は主に経験によって磨かれるものだ。それを真面目な独身男性に求めるのはやや矛盾した要望だと言える。

そのような独身男性は希少かつモテやすいので、より若い女性を結婚相手に選ぶことも少なくない。30代半ば以降の女性の場合は、婚活市場では「10歳若いときの自分」と競合していると考えるとわかりやすいだろう。そこで賢い千恵さんが選んだのは「恋愛経験皆無」の隆志さんだった。

「ただスーンと生きていた」彼に芽生えた気持ち

「新宿で会うことになって驚きました。タイプの違う飲食店を3つも候補として挙げて選ばせてくれたからです。すごくスマートで、気遣いもできる人だなと思いました。しかも、有名私立大学卒の正社員。女性とお付き合いをしたことがないのが不思議です」

万馬券を引き当てたかのように喜ぶ千恵さん。一方の隆志さんはやや照れくさそうにしながら穏やかに笑っている。千恵さんに言わせれば、自己肯定感が著しく低い男性。母親に過干渉されながら育ったことが原因のようだ。

「母はいい人ではあるのですが、『あれやれ、これやれ』と私や姉をコントロールしたがる人なんです」

付き合い始めてから千恵さんが驚いたのは、ある映画作品の話になったときに隆志さんが「それは親から見させられたよ」と言ったこと。娯楽の王道である映画を「見させられる」というのはどういう環境なのか。

「世間的に『いい』とされるものを子どもに強制する親でした。今では私も映画好きですが、若い頃は映画が大嫌いでしたね」

ちなみにその作品は『ショーシャンクの空に』。無実の罪で収監された主人公の脱獄を描いた秀作ではあるが、ひどい暴力シーンもあり、子どもに勧めるような内容ではないと思う。隆志さんの母親はアカデミー賞などの評判だけで判断したのだろう。しかも、それで息子は映画嫌いになってしまった。滑稽ともいえる悲劇だ。

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