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体操・宮田笙子の「喫煙辞退」で得をしたのは誰か 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【後編】

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 14時5分

当時、清純派アイドルとして、テレビや雑誌に引っ張りだこだった高部はこれを機に、わらべを除名となり、番組も降板。高校も無期停学処分を受ける。しかも、この写真を流出させた男性は自殺を遂げている。誰も幸せにならない。

ただ、『フォーカススクープの裏側』(新潮社)によれば、この写真を掲載したことで雑誌の売り上げは一気に跳ね上がったという。つまり、「未成年喫煙」はニュースバリューとカネになることが判明したのだ。

1985年には『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)の未成年メンバー6人が喫茶店で喫煙している様子を『週刊文春』(文藝春秋)にスッパ抜かれ、ひとりを除いてメンバーは降板。

1991年には茨城県土浦市と土浦市観光協会が主催した「第4回ミスつちうらコンテスト」で、審査員審査では最高得点だった女性が、会場のロビーで喫煙していたことを問題視され、ミス土浦を逃したことが新聞、テレビ、雑誌で騒がれた。

ただ、これは彼女の未成年喫煙が問題視されたわけではなく、「タバコを吸う女性はミスにふさわしくない」という理由でハシゴを外されたことが波紋を呼んだのだ(後にこの女性は美樹あゆみとしてセクシー女優デビューを果たす)。

そして、2006年には元・モーニング娘。の加護亜依の未成年喫煙が『FRIDAY』に掲載される。正直、写真の画質はかなりガビガビだったため、言い逃れできそうでもあったが、本人が誠実に事務所に事実と述べたため、謹慎処分となる。反省しているかと思いきや、その翌年には『週刊現代』(講談社)に再び未成年喫煙と18歳年上の男性と温泉旅行に行った写真付きの記事が掲載される。ついに、事務所は彼女との契約を解除して懲戒解雇となった。

ちなみに、1999年にはジャニーズJr.の未成年メンバー4人の未成年喫煙写真が『FRIDAY』に掲載され、4人は解雇の憂き目に遭ったものの、正直Jr.ということもあってか、誰も覚えていない。

スキャンダルの対象にされる日本の女性アスリート

やはり、未成年女子の喫煙スキャンダルのほうが「見映え」よく、ニュースバリューはあるのだ。その背景にはミスつちうらの一件のように「清廉潔白な女性はタバコを吸ってはいけない」という、社会通念がいまだに強く根ざしていると考えられる。だからこそ、不良と揶揄されていたダルビッシュは許されても、スポーツ精神にのっとった、容姿端麗で、国を代表している宮田選手は辞退に追い込まれたといえるだろう。

そもそも、安藤美姫、千葉すず、有森裕子など、かねて日本の女性アスリートはつねにスキャンダルの対象となってきた。それは「ニャンニャン事件」以降、世間は若い女性芸能人に向けるような「清廉潔白さ」を選手たちにも求めるようになったからだ。

「未成年喫煙者」という烙印を押された宮田選手が、今後そのプレッシャーを跳ね除けて復活を遂げる……。そんな未来が訪れるかは、今後の彼女の奮闘次第だろう。だが、世間から忘れ去られるまで、スキャンダルを狙われ続けるだろうし、仮に体操の世界で結果を残しても、過去の喫煙騒動は何度も思い出されるはずだ。

前編はこちら:喫煙で辞退「宮田笙子」なぜあれほど批判されたか 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【前編】

千駄木 雄大:編集者/ライター

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