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部下の「辞めます」で優秀な上司も降格になる時代 「辞めたら、また採ればいい」という感覚の弊害

東洋経済オンライン / 2024年8月21日 9時40分

そんなケースもたくさん見てきました。

でも今、そんな状況が変わりつつあります。

人が採れなくなるほど、離職の責任は重くなる

少子化などの影響により、多くの会社は募集しても思うように人が採れません。その状況で社員に辞められると辞めた穴を埋めることができず、社員が減っていくのです。

そのため、部下の離職によって現場が回らなくなり、事業縮小や廃業に至る会社が増え、人手不足が原因の倒産は過去最多を更新しています。

このように、離職がもたらす影響が深刻化するにつれ、企業の人事評価にも大きな変化が生じています。

冒頭の事例のように、部下の離職の原因となった上司に対し、その責任をきつく問うケースが増えているのです。

長年の努力と苦労によって手に入れた地位が、部下の離職によって瞬く間に失われるわけです。

今後、人手不足が深刻化するほど、社員の評価において「部下が辞めていないか」を重視する会社が増えていくでしょう。

しかし、「部下が辞めたなら、また採ればいい」という感覚のまま仕事をしている人は少なくありません。

そして、部下にきつく当たるなどして部下が辞め、責任を問われる。冒頭の話はその一例です。

そういったことのないように、まず現場の上司は、現代の採用事情を把握しておくことが必要です。

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、15~64歳の生産年齢人口(国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となる年齢の人口)は次のように推移すると見込まれています。

2010年:8152万人
2020年:7509万人
2030年:6875万人
2040年:5978万人
2050年:5275万人

このデータを見ると、10年で約1割のペースで生産年齢人口が減少しています。皆さんの会社の社員数が10年ごとに1割ずつ減っていく状況をイメージしてください。そうやって人が減り、多くの組織が深刻な人手不足に悩まされるおそれがあるのです。

急激に上昇している募集の際の提示年収

そのため、企業の動向も変化しています。

募集すれば人が採れた時代は、「人はいる。でも仕事が足りない」と、多くの会社が営業やマーケティングにコストをかけ、仕事の獲得に注力していました。

しかし、今は思うように人が採れず、「仕事はとれる。でも人が足りない」という会社が増えています。そういう会社は採用にコストをかけます。

それによって、募集の際に提示する金額もこの数年で急激に上がっています。

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