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企業のデータ活用「人材の社内育成と産学連携を」 国内初データサイエンス学部の滋賀大学長に聞く

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 8時0分

竹村彰通(たけむら・あきみち)/1952年生まれ。1976年東京大学経済学部経済学科卒業、1978年同大学院経済学研究科理論経済学・経済史学専門課程修士課程修了、1982年スタンフォード大学統計学部 Ph.D. 修了。東京大学大学院情報理工学系研究科教授などを経て、2016年滋賀大学データサイエンス教育研究センター長となり、日本初のデータサイエンス学部創設に尽力。2017年滋賀大学データサイエンス学部長。2022年より滋賀大学学長(記者撮影)

ビッグデータの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、産業界でデータ人材の重要性が増している。一方、経済産業省によると、データ人材を含むDX人材は2030年に79万人不足するという。そうした中、データ人材の育成を目的に、日本で最初の「データサイエンス学部」を、2017年に設置したのが滋賀大学だ。初代学部長として創設に奔走した竹村彰通学長に、学部設置の狙いやこれまでの手応え、産業界でのデータ人材の現状・課題を聞いた。

人材育成には産学連携が大事

――ここ数年でデータサイエンス学部を設置する大学が増えました。先駆者として何を強みにしていますか。

【写真】日本で初の「データサイエンス学部」を設置した滋賀大学。入学希望者が広域化しているという

学部設置時に専門教員を10人程度採用した。ここまで陣容をそろえている大学はあまりない。カリキュラムも就職後の即戦力を意識している。1、2年時には基礎的な学習を行うが、3年生以降はPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)を導入しており、企業が協力する形で実践を詰める内容にしている。

――なぜ企業との協力を重視しているのでしょうか。

学生が入社後も自信を持って活躍できるようにするためだ。現在は企業に入ってからデータサイエンスを勉強するより、即戦力としての人材が求められる傾向にある。企業側もデータサイエンスを専門とした部署が設置されていないケースが多い。人材は大学だけで育成するにも限界があるので、産学連携を通じた教育をしっかり行っていかないと対応できない。

――丸7年が経ちました。どのような手応えを感じていますか。

そもそものスタートは経済学部、教育学部に次ぐ第3の柱として新たな学部を設立したいというものだった。そこから7年、実績とブランド力がしっかりついてきたと思う。学部の卒業生でITやコンサルティング会社に加えて、金融や製造業、メディアなど幅広い業種に就職実績が積み重なってきた。就職してすぐにデータサイエンティストとして活躍する事例も出てきている。入学する学生も滋賀県内はもちろん関西圏や中京圏を中心に広域化しており、認知度も高まっている。

――企業との共同研究も進んでいるようですが。

他の大学であれば企業との共同研究などの数は2桁だが、滋賀大は累計で約300件の実績がある。いま動いている共同研究でも約50ある。ここは最初に学部を設置して、地道に実績を積み上げてきたからこそと言える。

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