1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

中国「空飛ぶクルマ」開発企業、量産工場を建設へ 小鵬匯天、政府系国有企業から約220億円調達

東洋経済オンライン / 2024年8月26日 18時0分

小鵬匯天が開発中の「空飛ぶクルマ」は、飛行ユニットと地上走行ユニットが別体になった「分離式」の構造を採用している(写真は同社ウェブサイトより)

「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国の小鵬匯天(正式社名は匯天航空航天科技)は8月5日、シリーズB1の資金調達ラウンドで1億5000万ドル(約220億円)の出資を得たと発表した。同社はこの資金を元手に、空飛ぶクルマの量産工場の建設に着手する。

【写真】飛行ユニットはプロペラを折り畳んで走行ユニットの荷台に収納される

2020年12月に創業した小鵬匯天は、中国の新興EV(電気自動車)メーカー、小鵬汽車(シャオペン)の関連会社だ。シリーズB1の投資家について小鵬匯天は明らかにしていないが、財新記者の取材によれば、広東省広州市政府の国有資産監督管理委員会の傘下にある少なくとも3社の国有企業が出資に応じた。

それら3社の出資額は、広州開発区控股集団の子会社の凱得投資控股が7000万ドル(約103億円)、広州市政府系の国有企業が5000万ドル(約73億円)、広州市黄浦区政府系の国有企業が3000万ドル(約44億円)だった模様だ。

2025年の量産開始目指す

小鵬匯天の今回の調達額は、空飛ぶクルマの開発企業が公表した資金調達としては2024年に入って最大だ。このラウンドを通じて、小鵬匯天の企業評価額は10億ドル(約1465億円)を突破した。

同社は2021年末に実施したシリーズAの資金調達ラウンドで、5億ドル(約732億円)を超える出資獲得に成功した。これは中国の空飛ぶクルマ業界における過去最大の調達額であり、今も記録は破られていない。

空飛ぶクルマの量産工場は、広州市の広州経済技術開発区に建設する。今後の事業化スケジュールについて、小鵬匯天の創業者の趙德力氏は「2024年10~12月期から予約販売を開始し、2025年10~12月期に量産を開始する」という目標を明らかにしている。

小鵬匯天が開発中の空飛ぶクルマは、飛行ユニットと地上走行ユニットが別体になった「分離式」の構造を採用している。飛行ユニットは複数のプロペラをモーターで駆動して飛行する電動垂直離着陸機(eVTOL)で、パイロット1名と乗客1名が搭乗可能だ。

一方、地上走行ユニットはレンジエクステンダー型EV(訳注:航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したEV)のピックアップトラックで、4~5人が乗車できる。飛行ユニットは充電ステーションを兼ねた荷台部分に搭載する。

耐空証明や操縦資格に課題

小鵬匯天は、将来的には空飛ぶクルマを一般消費者に販売することを目指している。しかし現時点では、先行きに不透明な要素が少なくない。

中でも重要なのが、飛行ユニットの(安全性について航空安全当局のお墨付きをもらう)耐空証明の取得や操縦資格の問題だ。耐空証明の前提となる型式証明の取得については、小鵬匯天の申請を中国民用航空中南地区管理局が3月21日に受理した。だが、その後の進捗は明らかにされていない。

空飛ぶクルマの操縦資格に関しては、どのような飛行免許が必要で、どうすれば取得できるのか、まだはっきりしない。小鵬匯天は「中国民用航空局などの所管部門と協議中」としているが、空飛ぶクルマを一般消費者に販売するハードルはそうとう高いと言えそうだ。

(財新記者:方祖望)
原文の配信は8月5日

財新 Biz&Tech

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください