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中国半導体SMIC「6割超の減益」でも強気の根拠 受注拡大を優先、4~6月期の稼働率85%に改善

東洋経済オンライン / 2024年8月29日 19時0分

SMICは目先の利益率よりも受注拡大を通じた設備稼働率の改善を優先している。写真は上海市の本社工場(同社ウェブサイトより)

中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は8月8日、2024年4~6月期の決算を発表した。同四半期の売上高は19億100万ドル(約2791億円)と前年同期比21.8%の増収を達成。それとは対照的に、純利益は1億7200万ドル(約253億円)と前年同期比62.9%の大幅減益を記録した。

【写真】12インチウェハーに対応するSMICの北京工場

増収減益となった要因は、SMICが目先の利益率よりも受注拡大(を通じた設備稼働率の改善)を優先したことだ。4~6月期の粗利率(売上総利益率)は13.9%と、前年同期の20.3%から6.4ポイント低下した。

中国の半導体業界では過去数年、技術的に成熟したプロセス技術を用いる生産ラインの新増設が相次ぎ、それらの稼働とともに生産能力が需要を上回る状況になっている。そんな中、SMICはより安い価格を提示するライバルへの対抗値下げを余儀なくされているのが実態だ。

12インチのラインはフル稼働

「生産能力が余っている同業他社が、価格を下げてSMICの顧客と市場シェアを奪おうとするなら、われわれは受けて立たざるをえない。とはいえ、そのような挑戦がなければ、わが社のほうから価格競争を仕掛けることはない」

SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は決算説明会でそう述べるとともに、次のように補足した。

「ファウンドリーの受託生産料金は、4~6月期には(下げ止まって)落ち着きを取り戻した。特に12インチウェハーに対応した生産ラインは、フル稼働しても需要を満たしきれない」

SMICの製品分野別の売り上げ構成を見ると、4~6月期はコンシューマー電子機器向けの半導体が総売上高の35.9%、スマートフォン向けが32.0%、パソコンおよびタブレット向けが13.3%をそれぞれ占めた。

受注拡大を最優先する経営戦略により、4~6月期のウェハー販売量(8インチウェハー換算)は前年同期比50.5%増加し、設備稼働率は85.2%に高まった。SMICの設備稼働率は2023年10~12月期の76.8%を底に、2四半期連続で改善が続いている。

7~9月期は粗利率の改善予想

中国の半導体メーカーが(アメリカ政府の対中制裁により)最先端プロセスの導入を阻まれる中、SMICは成熟プロセスの生産能力拡大に巨額の投資を続けている。4~6月期の設備投資額は22億5200万ドル(約3307億円)に上り、6月末時点の生産能力(8インチウェハー換算)は月間83万7000枚と半年間で約3.9%増加した。

2024年7~9月期の業績について、SMICは売上高が4~6月期より13~15%増加し、粗利率が18%から20%の間の水準に改善するという強気の見通しを示す。共同CEOの趙氏は、決算説明会で次のように述べた。

「わが社の下半期(7~12月)の売上高は上半期を上回り、通期の増収率は半導体業界の平均値を超えるだろう。12インチウェハー対応の生産ラインに関しては、(供給不足に対応するため)2024年末までに月間約6万枚相当の増強を行う」

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は8月9日

財新 Biz&Tech

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