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中国自動車大手・上汽集団が「首位転落」の危機 VWおよびGMとの合弁会社の販売不振が痛手に

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 17時0分

上汽集団の販売を支えてきたVWおよびGMとの合弁会社が、そろって販売不振にあえいでいる(写真は上汽VWのウェブサイトより)

中国の国有自動車大手の上海汽車集団(上汽集団)が、長年守ってきた中国首位の座から転落しかねない苦況に直面している。

【写真】上汽集団の新総裁に抜擢された賈健旭氏

同社が8月9日に発表した販売速報によれば、7月のグループ販売台数は25万1000台と前年同月比37.2%も減少。6月と7月の2カ月連続で、単月の販売台数首位の座を比亜迪(BYD)に明け渡した。BYDの販売台数は6月が34万2000台、7月も同じく34万2000台だった。

上汽集団の販売の主力は、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)との合弁会社である「上汽VW」や、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)との合弁会社である「上汽GM」、「上汽GM五菱」が生産する乗用車だ。

そのほかにも、子会社の上汽乗用車が独自ブランドの「栄威(Roewe)」や買収により取得したイギリスの老舗ブランド「MG」の乗用車を生産・販売。さらに、EV(電気自動車)専業の智己汽車科技(IMモーターズ)と飛凡汽車科技(ライジングオート)も傘下に持つ。

猛追するBYDが逆転も

上汽集団の年間販売台数は、2018年の705万2000台をピークに減少し続けている。2023年の販売台数は502万1000台と18年連続で中国首位を守ったものの、5年前に比べて約200万台も縮小した。

2024年に入ってからも販売の落ち込みに歯止めがかからず、1月から7月までの累計販売台数は前年同期比15.9%減の207万8000台だった。

それとは対照的に、BYDは得意のPHV(プラグインハイブリッド車)やEVの販売を伸ばし続けている。2023年の販売台数は302万4000台と上汽集団とは約200万台の落差があったが、2024年1~7月は195万5000台を販売してその差を12万3000台に縮めた。

上汽集団の苦況の主因は、上汽VWと上汽GMの販売の大幅な落ち込みにある。上汽VWの年間販売台数は2018年の206万5000台から2023年には121万5000台に、上汽GMは同197万台から100万1000台にそれぞれ減少してしまった。

その背景には、中国の自動車市場で生じた急速なEVシフトがある。外資系合弁メーカーは製品開発や技術移転を本国の親会社に依存しており、中国市場の変化への対応が後手に回った。

上汽集団は独自ブランドのEVやPHVを次々に投入したが、上汽VWと上汽GMの落ち込みを埋めるには力不足なのが現実だ。

経営陣刷新で巻き返し

中国首位からの転落が現実味を増す中、上汽集団は経営陣の若返りを通じた自己変革に乗り出している。

同社は7月10日、経営トップの交代を発表。2014年から董事長(会長に相当)を務めてきた陳虹氏が定年退職し、総裁(社長に相当)の王暁秋氏が後任に就くと同時に、副総裁で46歳の賈健旭氏を総裁に抜擢した。

新総裁の賈氏は、合弁会社を含めた事業再構築による業績反転の重責を担う。

「これからどんなリストラが打ち出されるのか。社内は上から下まで、その話題でもちきりだ」。財新記者の取材に応じた上汽集団の中間管理職は、そう打ち明けた。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月10日

財新 Biz&Tech

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