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「1年で最悪の9月」に日本株を買ってもいいのか 「9月に買えば年末年始高で売れる」が正しい?

東洋経済オンライン / 2024年9月2日 9時30分

では、実際のところ、9月相場はどうなるだろうか。日経平均のチャートから占ってみよう。前述のとおり、8月相場は5日の日中に3万1156円台まで下落するなど大波乱となったが、それは月前半のスタート時点だけで、日経平均のその後は徐々に回復した。

とくに8月16日から3万8000円「乗せ」と「割れ」を交互に繰り返したあと、22日からの終値は3万8000円台半ばまでの狭いレンジのモミ合いとなっている。しかも、市場の大局は8月5日で底入れしたとの共通の認識を持ちながらも、ローソク足は短期・中期・長期の代表的移動平均線である25・75・200日移動平均線の束の中に閉じ込められたような形で、脱出できずにいた。

これはこの3万8000円台のゾーンがここ数カ月の最も多い売買高ゾーンであり、同時に最も厚い抵抗ゾーンとなっているためだ。「やれやれ売り」が間断なく出て、上値を圧迫している。このゾーンを突き破る明確な買い材料も出ていない。

しかも、一企業の決算というより、今や最大の経済指標となっているエヌビディアの2024年5~7月期決算発表が終わり、市場の変動要因としての同社の価値は、今後急速に低下していくと思われる。

一方、相場の行方に影響を与えそうな、11月5日のアメリカ大統領選挙や、一足先の9月27日に行われる日本の自民党総裁選挙の行方も混沌としている。すでにアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の「利下げ」や、日本銀行の「利上げ」材料も織り込んでしまい、市場の方向感を変える大きな材料とは言えなくなった。

期待の外国人買いについても、対内証券売買契約(財務省ベース、外国人動向)は2週連続、東京証券取引所ベースでの外国人売買も直近は3988億円の売り越しと、不透明だ。結局、8月16日に3万8000円台まで戻った日経平均は、月末まで11日間も3万8000円台を脱出できなかった。

物色は銀行・建設・防衛を中心とした内需銘柄へ

ただ、企業は元気だ。業績も悪くなく、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)は最高水準を維持し、自己株買いも活発だ。また、7月の企業向けサービス価格指数も前年同月比+2.8%と、41カ月連続のプラスとなっているが、これは消費を圧迫するというよりは、企業が人件費や原料高などのコスト上昇を価格に転嫁していることを表しており、日本経済が着実にデフレ脱却の方向に進んでいることを示している。

東京・兜町の証券関係者の間では、結局「これからは内需だ」との見方が多くなっている。「今後の投資対象業種は?」というと、「金利が緩やかに上がることは確実なのでメガバンク。昔は金利上昇に弱いと言われたが国土強靭化や防災需要という大きな材料がある建設もいい。さらに、世界情勢を見ると、平和ボケしているわけにはいかないので防衛も本命の一角だ」などとの声も大きくなっている。

しかも、こうした内需株の流れは中堅・中型の銘柄へと広がっていくと言うのだ。個人投資家にとっては、決して悪い話ではない。

2日から始まる9月相場は、2日新甫というだけでなく、アメリカ市場が休場という意味でも変則スタートとなる。折しも8月30日の日経平均は、月末・期末の「お化粧買い」が入ったとはいえ、29日比で285円高の3万8647円と、200日線も25日線も突破した。唯一抜けていない75日線の3万8649円にも、あと約2円に迫った。日経平均ミニ先物の終値は3万9050円と3万9000円台に乗せており、いよいよ3万8000円台脱出が見えてきた。

私に言わせれば、「5月に売って9月に買え」よりも「9月に買えば年末年始高で売れる」のほうが、デフレ脱却の日本市場では現実的な相場格言に思える。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一:ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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