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「刷新感」を打ち出した企業が陥る"残念な"結末 自民党総裁選でも「刷新感」は多用されるが…

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 9時0分

「単なる印象操作か」と思うなかれ。印象は重要だ。好印象のリーダーの登場は、人々の目を引き、期待感を高める。新しい部門長が組織のリーダーになれば過去と決別した感を出せるのだ。

社員の多くは「会社が変わる」「これから成長するだろう」という期待に胸を膨らませ、生産性を大きくアップさせることもある。

メニューの中身を一切変えなくても、お店の雰囲気を変えるだけで繁盛する例もある。センスのいいパンフレット、洗練されたWEBサイトに変更しただけで印象がよくなり、売り上げアップしたり、採用で成果を出す成功例はあとを絶たない。

ただ、印象が重視されるのは、そのイメージ、雰囲気がバリュー(価値)につながるときだけだ。

メニューは以前と同じなのに、お店の雰囲気をガラリと変えただけで繁盛したのなら、お店の雰囲気をバリューと評価するお客様がいるからだ。しかし印象や感覚がバリューに結びつかない場合は、すぐに効果が薄れる。

印象のいいWEBサイトに好感を持って入社しても、実際の社風がイメージと異なったら失望し、長続きしないだろう。感じのいいパンフレットを見て注文しても、届いた商品が期待外れならお客様はリピートオーダーしないだろう。

人事もそうだ。「刷新感」という印象がバリューとして評価されるのならいい。

しかし本来のバリューが「刷新」であるなら逆効果だ。期待させるだけ「期待外れ感」が高まる。その理由は「刷新」という言葉の意味にある。

そもそも「刷新」とは、悪い点を取り除いて変化させるという意味だ。単に大きく変化させる「革新」と異なる。

したがって組織を刷新するために、リーダーを変えたり、配置転換をしたりしたにもかかわらず表面的な変化にとどまっているのであれば失望感は大きい。

本当の「刷新」に必要なこと

冒頭に書いたような、毎年のように組織改編を行い、部署名や役職名を変更する会社は気を付けるべきだろう。名刺は変わるが、実態がほとんど変わらないことが多いからだ。

その会社が実際に組織再編したというので、突っ込んだ質問をしてみると次のような会話になってしまった。

「経営企画部と経営企画管理部とは何が異なるんですか?」

「企画のみならず、管理も徹底していこうと思っています」

「何の管理ですか?」

「経営にかかわる、いろいろな管理です」

「それは管理本部の仕事ですよね?」

「た、たしかに」

実際、ある会社では急激な外部環境の変化に対応できず、2年連続で大幅に利益を落とした。競合他社と比べてもダウン幅が大きかった。だから社長は「抜本的な改革」を打ち出したのだが、結局はうわべだけの刷新にとどまったようだ。

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