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「兵庫県知事」嫌悪表情に表れた自己正当化の心理 反省の言葉を述べながらも追及には納得していない

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 8時20分

しかし、質問者に資料をもとに、「重要性や緊急性がないと考えられる問題でも対応を求めているのではないか」と指摘されたところ、知事は、鼻にしわを寄せる嫌悪の微表情を見せ、「やりすぎた面はあったのではないかと思っています。反省しています」と述べます。

嫌悪微表情は抑制された感情の漏洩であり、反省という言葉と一致する形で生じていません。矛盾の指摘に嫌悪したものと考えられ、反省の度合いに疑問符が付きます。

同様の心理が、百条委員会終盤でも垣間見られます。質問者が、「今までの答弁聞いて、さまざまな発言がありましたけれども、大声での叱責、物を投げる、いろいろな理由があって斎藤知事は『私の認識としては』とおっしゃいます。大筋で事実であったとしても、パワハラと認めない。

ところが、『パワハラを知っている』『パワハラを聞いた』とアンケートで答えた職員は、38.3%、1750人から寄せられているということです」と指摘すると、知事は嫌悪の微表情を見せます。「真摯に受け止め、反省して、行動の襟を正していこうと思います」という旨を述べますが、実際に反省の表情は見えません。

自身の行為と部下への指導の矛盾をつかれる場面で、知事は、幸福の微表情を見せます。「送迎の際に、ご自身が遅れてくることはありますか」という質問に、「はい、あの、そういうこともあります」と知事は感情を抑制した表情で答えます。

すかさず質問者は、「ご自身が遅刻して来る。でも部下には主張する。これなかなか成立しないんじゃないかと思うんです。この点についてどうお考えですか」と尋ねます。

このとき知事は、なぜか幸福の微表情を見せ、即座に口角を引き下げ、真顔になろうとします。

「あの、いつもいつも遅れるわけではなく、遅れることもある」とやや口角が引き上がるのを押さえながら、「ご指摘はごもっともだと思います」と答えます。

幸福の微表情を見せた知事の心理とは?

質問者は追及の手を緩めず、「基本的に知事は遅れて来るものだと認識している」と述べます。知事は、頻繁な遅刻を自覚しているからこそ、弁明に無理が生じ得たと感じ、苦笑したのではないかと考えられます。

この後もやり取りが続くのですが、質問者は、結びに「ご自身は遅刻することがある、でも部下には指導する。これ矛盾してますから、まず部下に指導するのであれば、ご自身は時間をしっかり守っていただきたいということを申し上げます」という提言をします。

この提言に、知事は嫌悪の微表情で反応します。提言に納得していないようです。「遅刻には知事なりの理由がある」ということかもしれません。

ほかにも、付箋を投げたという証言に「1枚を折りたたんで放り投げた」と答え、叱責しながら机を叩いたことを机を「ポコッと叩いてしまった」と答え、嫌悪の微表情を見せます。

怒りという強い感情エネルギーがあった場面で、「ポコッと叩く」という描写は、矛盾を感じます。自己のネガティブな行為を弱く見せようとする心理がうかがえます。

知事の見解の正当性について、ここで判断することはさしひかえますが、微表情を分析すると、知事は自身の行為におおむね正当性があると考えているものと推測されます。

清水 建二:株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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