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「緩慢な衰退」から日本企業が脱却できない深い訳 「大胆な事業再編」を迫られてるのに…真因は?

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 9時0分

赤字事業、低収益事業の現場では、上からの黒字化プレッシャーは強いが、新たな投資を行うことができず、追い込まれてしまう(写真:Graphs/PIXTA)

経営コンサルタントとして50社を超える経営に関与し、300を超える現場を訪ね歩いてきた遠藤功氏。

36刷17万部のロングセラー『現場力を鍛える』は、「現場力」という言葉を日本に定着させ、「現場力こそが、日本企業の競争力の源泉」という考えを広めるきっかけとなった。

しかし、現在、大企業でも不正・不祥事が相次ぐなど、ほとんどすべての日本企業から「現場力」は消え失せようとしている。

「なぜ現場力は死んでしまったのか?」「どうすればもう一度、強い組織・チームを作れるのか?」を解説した新刊『新しい現場力 最強の現場力にアップデートする実践的方法論』を、遠藤氏が書き下ろした。

その遠藤氏が、『現場のプライドを毀損させる「赤字の放置」』について解説する。

日本企業の事業の入れ替えは急務

私は過去30年以上にわたり、日本企業の現場を300以上訪ね歩いてきた。

【書籍】「どうすれば日本は再生できるのか?」20年間「現場リーダー」に読み継がれてきた必読書&「もう一度強いチーム・組織を作る」処方箋を記した新刊

現場の人たちと直接的な触れ合いを大事にしたいと思い、いまも経営顧問先の現場やコンサルティングを行う企業の現場を訪ね歩いている。

「現場力」こそが、日本企業の競争力の源泉であると信じてきた。

しかし、日本企業の現場を取り巻く環境は悪化していき、劣化を食い止めるどころか、現場力は跡形もなく消えてしまっていた。

これまで成長を支えてきた事業は成熟期、衰退期を迎え、事業の入れ替えを加速しなければ、成長軌道に戻すことはできない。

事業には「寿命」がある。

多くの日本企業はいま「事業ポートフォリオの見直し」に迫られている。

国内市場だけに依存している事業の多くは、日本経済の縮小とともにこの先縮んでいくのは明らかだ。

かといって、すぐに事業自体が消えてなくなるわけではない。それが厄介だ。

「緩慢な衰退」は思い切った打ち手を講じることができず、組織を徐々に蝕んでいく。しかし、成長が見込めない事業、収益改善が期待できない事業、赤字事業を放置することは悪である。

それがわかっていながら、多くの日本企業は大胆な事業ポートフォリオの見直しを進めてこなかった。

それは、経営管理だけの話ではない。赤字からの脱却が見通せない現場にとって、それは自分たちの存在意義を問われ、プライドを喪失させる深刻な事態なのだ。

「黒字化プレッシャー」に追い込まれる現場

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