自民党総裁選で林芳正氏が挑む「あまりに高い壁」 低認知度に旧岸田派分裂、"安全牌"の迫力不足
東洋経済オンライン / 2024年9月6日 11時0分
林芳正官房長官(63)が9月3日、自民党総裁選への出馬を表明した。12年ぶり2回目の挑戦で、同日午後の出馬会見では「『仁』の政治」を掲げ、「国民の共感を得られる政治を取り戻す」と宣言した。
これまで外相、農水相など7つの閣僚ポストを歴任してきた林氏は、今回総裁選に出馬する候補者の中では、4日に出馬表明した茂木敏充幹事長(岸田総裁に職務を委嘱)に次ぐ経験と実績を誇る。ただ、各種メディアの世論調査では、総理・総裁候補としての認知度は極めて低く、しかも同じ旧岸田派からの上川陽子外相(71)の参戦で派内の支持も割れており、「目指す総裁選上位への食い込みには高い壁が立ちはだかっている」(自民長老)のが実態だ。
もともと、旧岸田派ナンバー2の座長だった林氏は、官房長官として岸田文雄首相を全力で支える立場からも、「岸田首相の退陣表明後も『喪に服す』意味で、総裁選出馬は見送る」(側近)考えだった。しかし、“脱派閥”による候補者乱立で「旧岸田派が各陣営の草刈り場と化しつつあった」(自民幹部)ため、「岸田首相の意向も踏まえ出馬に踏み切った」(側近)のが真相だ。
旧岸田派後継をめぐり、上川氏と上位争い
ただ、派閥仲間だった上川氏が突然、岸田首相に「出馬したい」と申し入れ、「岸田氏も渋々出馬を認めたことで、派分断の危機に陥った」(同)のも事実。もちろん、岸田首相は「最終的に2人出馬となっても、どちらかが1回戦で上位2人に食い込まない限り、決選投票では旧岸田派の対応を一本化する考え」(旧岸田派幹部)だとされる。
このため林氏は「旧岸田派の後継者となるためには、何が何でも上川氏より上位になる必要がある」(側近)ことになる。だからこそ、「参院議員時代の親しい議員らを中心に旧岸田派以外の議員にも必死に支持を求めている」(同)が、「旧岸田派の女性議員のほとんどが上川氏の支持に回っている」(旧岸田派幹部)こともあり、「“林VS上川”でも勝てる確信が持てない状況」(側近)とみられている。
そもそも林氏の今回の出馬は「次の次の総裁選で本命になるための地固めが目的」(同)とされる。しかし、「結果的に最下位争いを余儀なくされれば、『次の次』さえ見通せなくなる」(政治ジャーナリスト)だけに、「今回敗れれば一巻の終わり」(自民長老)とみられている茂木氏と同様に、「トップリーダーになるための最大の正念場を迎えている」(同)ことは間違いなさそうだ。
「優等生答弁」でネット視聴者は“漸減傾向”に
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