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【金持ちも危険】日本で増える「孤独死」防ぐ方法 「凄惨な最期」を避けるために"必要な準備"は?

東洋経済オンライン / 2024年9月7日 12時0分

孤独死を防ぐためには、「誰かの目」とつながることが大切です(写真:Ushico/PIXTA)

結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。

共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。

そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。

著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。

その松尾氏が、誰にでも起こり得る「孤独死」のリアルと有効な対策について解説する。

年々増える「高齢者の一人暮らし」

「孤独死」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

【ひと目でわかる】子供がいない・子供に頼れない「おふたりさま夫婦」におすすめの「新しいサービス」とは?

「身寄りのない、寂しい人に起こる特殊な出来事で、家族もいて、友人にも恵まれている自分には関係ない」

このように考えている人が多いかもしれません。

孤独死とは「誰にも看取られることなく。一人で死亡すること」です。

結論からいうと、孤独死は誰にでも起こる可能性があります。

もちろん、家族がいれば、体調の異変にも気づいてもらえるでしょう。

しかし、長年連れ添った伴侶も、先に亡くなってしまうかもしれません。

子どもがいても、遠方住まいや疎遠であればすぐに連絡はとれません。

高齢になれば、たくさんいた友人たちも体調が悪かったり、あるいは亡くなったりして交流が激減します。

資産のあるなし、住まいが一戸建てかマンションか、あるいはアパート住まいかも関係ありません。

お手伝いさんなどの目がない限り、豪邸にお住まいの方にも、孤独死の可能性はあるのです。

実際、高齢者の一人暮らしは、男女ともに増加傾向にあります。

「国民生活基礎調査」(2022年)によれば、65歳以上の者がいる世帯は、単身世帯(一人暮らし)が3割を超えています。

65歳以上の高齢者の孤独死は増加傾向にあり、年間6万8000人にのぼるとの推計結果が公表されました。

さらに、日本人は他国とくらべ社会的に孤立しやすいというデータもあります。

核家族化が進み、なおかつ長寿社会である日本で「高齢者の孤独死」が増えるのは当然ことで、今後の重要な社会的課題であるともいえます。

では、孤独死を迎えた故人は、どうなるのでしょうか?

「発見までの平均日数」は17日

日本少額短期保険協会によれば、孤独死発生から発見までの平均日数は17日。

第一発見者は管理会社などが27.1%、親族が21%、友人が13.7%です(ほかは福祉、他人、警察など)。

発見原因は、音信不通による訪問が51.3%(発見までの平均日数13日)、異臭、居室の異常25.1%(同24日)。ほか、家賃滞納や郵便物の滞留も発見原因となります。

発見されたご遺体は、警察による検死を経て遺族に引き渡されます。

しかし、身寄りがなく親族が見つからない場合や、親族が引き取りを拒否する場合もあります。

親族がご遺体を引き取った場合は、通常通り葬儀や火葬を行い、遺骨を受け取ることになります。

身寄りがなかったり、引き取りを拒否されたご遺体は、自治体によって火葬が行われ、所定の無縁塚などに埋葬されます。

ただし、自治体が関わってくれるのは火葬・埋葬までです。行政が死後のさまざまな手続きまで行ってくれるわけではありません。

人が亡くなると、葬儀、火葬、埋葬などの手配だけでなく、行政への届出、亡くなるまでにかかった医療費や介護費用の支払い、電気や水道、電話などライフラインの解約、年金受給の停止、家財道具の処分や賃貸していた部屋の引き払いなど、さまざまな手続きが必要となります。

一般的に、これらを「死後事務」と呼びます。

発見が遅れれば「特殊清掃」案件になる

孤独死の場合、これに亡くなった部屋の原状復帰が加わります。

お亡くなりになってすぐに発見された場合は通常の片づけで済みますが、時間が経ってから発見された場合は問題です。

ご遺体の損傷が激しいだけではなく、腐敗臭が部屋に染みつく、血液や体液、尿や便などの排せつ物が漏れ出す、ウジ虫やハエなどが大量発生するなどによって、特殊清掃会社への依頼が必要です。

賃貸住宅の場合、部屋が原状復帰するまでの家賃も負担しなければならないケースもあります。

人は、いつどこで命を終えるか、事前に選ぶことはできません。

そういう意味で、孤独死を完全に防ぐことは難しいと思われます。

ただ、特殊清掃が必要になるような孤独死は、できるだけ防ぎたいという人が多いはずです。

孤独死を防ぐための手立てとしては、各種の公的な福祉サービス、民間の福祉サービスなどで、「誰かの目」とつながることが大切です。

身寄りがない、配偶者に先立たれた、子どもがいない(あるいは疎遠)という場合は、近年登場してきている「見守りサービス」も選択肢になるでしょう。

【「見守りサービス」のいろいろ】

●定期的に自宅を訪問してくれるタイプ
●センサー機器を設置することで安否確認するタイプ
●自動配信の電話やメールで安否確認するタイプ
●カメラによって見守るタイプ
●食事や郵便物の宅配時に確認するタイプ など
※突然倒れた際などに緊急対応してもらえるようにしておくと安心できます。

「死後事務」もあらかじめお願いしておく

また、死後事務については、「死後事務委任契約」という契約を結んで、死後のさまざまな手続きについてお願いしておくと安心です。

死後事務委任契約の依頼先としては、親族、友人・知人、専門家(行政書士、司法書士、弁護士などの士業)などが一般的です。

身寄りがない場合、信頼できる専門家に相談してみましょう。

孤独死は誰に起こってもおかしくありません。

でも、「できるだけの準備」をしておくことで、「凄惨な最期となるリスク」を減らすことができるのです。

松尾 拓也:行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家

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