メルカリが台湾へ、透ける「米国リストラ」の教訓 アプリも現法もなし、リーズナブル設計がカギ?
東洋経済オンライン / 2024年9月7日 9時0分
「世界のメルカリ」に向けて、仕切り直しの第一歩だ。
【写真で見る】メルカリが立ち上げた台湾の直営サイトと、海外で人気が高いアイテム群
フリマアプリ大手のメルカリは8月29日、台湾への進出を発表した。日本で出品された商品を現地のユーザーが購入できる「越境EC」の形をとり、繁体字の「美露可利(メルカリ)」の名を冠したサイトを立ち上げた。
メルカリは2019年から、BEENOSグループなど74社のパートナーと連携し、約120の国・地域で間接的な越境ECを展開。海外での人気が根強い日本のアニメやマンガの関連グッズ、比較的状態がよいとされる中古のブランド品・デジタルカメラなどが牽引し、同社の越境EC事業のGMV(流通取引総額)は前年比約3.5倍に成長している(実数は非公表)。
中でも台湾は訪日経験を持つ消費者も多く、メルカリにおける越境ECで、取引金額・件数ともに中国に次いで2位につける市場だ。足元では、物価上昇を受けて節約志向が高まり、現地のリユース品への需要自体も強まっている。
創業間もなく海外進出に挑戦するも…
こうした理由から、台湾ではパートナーが運営するサイト上での販売だけでなく、自社サイトで直接的な接点を持つに至った。越境EC担当の執行役員である迫俊亮氏は「メルカリは今後もグローバルマーケットプレイスの実現に向けて、越境を軸としたグローバルへの挑戦を続けていく」と意気込みを語った。
創業者である山田進太郎CEOの強い思いの下、当初から世界展開に意欲的だったメルカリ。創業翌年の2014年にアメリカへ進出し、2015年にはイギリスでも現地法人を立ち上げた。
しかし、思うような成果が得られなかったイギリスからは早々に撤退。ここ数年はアメリカでも激しい競争やインフレ影響などに苦戦し、今年6月には大規模なリストラを迫られた。
海外進出に黄信号が灯る中、仕切り直しのカギを握る台湾進出には、アメリカをはじめとする海外での教訓が多く盛り込まれている。
1つ目が、効率的なリソースでの事業展開だ。台湾への進出に際しては、イギリスやアメリカのような現地法人は設けず、スマホアプリも展開しないため、人件費や開発費などが抑制されている。
一方で、自社サイトならではのUI・UXを提供することや、独自のキャンペーン展開は可能となる。顧客データも直に手に入るため、将来的な現地でのサービス拡大に向けた布石ともなる、“リーズナブル”な展開なのだ。
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