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iPhoneだけじゃない、時計やイヤホンの重要進化 テクノロジーと健康管理を融合するアップルの狙い

東洋経済オンライン / 2024年9月10日 17時30分

さらに、AirPods Proは簡易的な聴力検査機能も備えた。ユーザーは約5分で自分の聴力をチェックできる。検査結果は安全に保存され、必要に応じて医療機関と共有することもできる。

聴力に問題が見つかった場合、AirPods Proは補聴器としての役割も果たす。軽度から中程度の難聴に対応し、周囲の音を適切に増幅する。この機能は音楽や映画、通話にも自動的に適用される。

聴覚関連の新機能も、この秋から日本を含む100以上の国と地域で順次導入される予定だ。これらの新機能は、2022年9月に発売されたAirPods Pro(第2世代)に対して、ファームウェアアップデートを通じて提供される。つまり、既存のAirPods Pro(第2世代)ユーザーも、アップデート後にこれらの新機能を利用できるようになる。

このような技術の進歩は、予防医療の新たな形を示唆している。日々の生活の中で継続的に健康状態をモニタリングすることで、従来の定期健康診断では捉えきれなかった微細な変化も検出できるようになるかもしれない。それは、病気の兆候をこれまでよりも早い段階で発見し、対処することを可能にする。

健康管理が製品群の要に

その中でアップルは、ウェアラブルデバイスを中心とした健康管理エコシステムを構築している。例えば、Apple Watchで測定した心拍数や運動データは、iPhoneのヘルスケアアプリで一元管理される。さらに、AirPods Proで行った聴力検査の結果もこのアプリに統合される。ユーザーは、これらのデータを1カ所で簡単に確認でき、必要に応じて医療機関と共有することも可能だ。このように、複数のデバイスとアプリが連携することで、ユーザーは自身の健康状態を総合的に把握し、効果的に管理できるようになる。

Fitbitを買収したグーグルや、Galaxy Watchを展開するサムスン電子など、競合他社も同様のエコシステム戦略を展開している。しかし、医療機器としての認証を受けた機能の数や、健康管理機能の多様性において、現時点ではAppleが一歩リードしているように見える。特に、睡眠時無呼吸症候群の検出や、AirPods Proを活用した聴覚の健康機能など、ユーザーの命と健康を守るという観点から、Appleは最も先進的な取り組みを行っていると言えるだろう。

テクノロジーと健康管理の融合が加速する中、Appleの取り組みは、私たちの生活がどのように変わりうるかを示す1つの指標となっている。ウェアラブルデバイスが単なるガジェットから、ライフラインの一部へと進化していく過程を、私たちは目の当たりにしているのかもしれない。

石井 徹:モバイル・ITライター

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