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BYDがファーウェイの「自動運転技術」導入の背景 高級オフロード車ブランド「方程豹」をテコ入れ

東洋経済オンライン / 2024年9月12日 19時0分

BYDが立ち上げた高級オフロード車の新ブランド「方程豹」は、販売が思うように伸びていない。写真は第1号モデルの「豹5」(方程豹のウェブサイトより)

中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は高級オフロード車の新ブランド「方程豹(ファンチェンバオ)」に、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が開発した先進運転支援システムを導入する。

【写真】超高級車に特化した「仰望」ブランドの大型SUV「U8」

8月27日、両社が提携契約に調印したことを共同で発表した。今後、方程豹の全モデルにファーウェイの自動運転技術を搭載するとしており、第1弾の「豹8」を近く発売する計画だ。

豹8にはファーウェイの先進運転支援システムの最新バージョン「ADS 3.0」が組み込まれ、出発地から目的地までの(人間のドライバーが介入しない)自動運転に対応できるという。

高級車市場への進出に苦戦

BYDがファーウェイと提携した狙いは、方程豹ブランドのテコ入れにあると見られている。

方程豹は本格的なオフロード車専門のサブブランドとして設立され、第1号モデルの「豹5」を2023年11月に発売。その販売は滑り出しこそ順調だったが、ここ数カ月は息切れ傾向を見せていた。2024年上半期(1~6月)の豹5の累計販売台数は約1万8000台にとどまっている。

そんな中、BYDは7月末に方程豹のブランドイメージを見直し、ヘビーデューティーな「プロ向けブランド」から一般ドライバーにも親しみやすい「カジュアル・ブランド」に転進すると発表。と同時に、豹5のメーカー希望価格を発売時の29万~35万3000元(約587万~714万円)から5万元(約101万円)引き下げた。

「豹5の売れ行き不振は、BYDの高級車市場への進出がもくろみ通りに進んでいないことの表れだ」。自動車業界の関係者の間では、そんな見方が主流になっている。

BYDは数年前から高級車市場へのチャレンジを本格化し、「騰勢(デンツァ)」「仰望(ヤンワン)」、方程豹などのサブブランドから新型車を続々と投入してきた。

騰勢はもともと、BYDがドイツのメルセデス・ベンツと折半出資で2010年に設立した合弁会社だ。だが、その経営は(販売不振のために)赤字続きで、メルセデス・ベンツは2021年12月に保有株の8割をBYDに譲渡。現在はBYDが全株式の9割を保有している。

仰望は、価格が100万元(約2024万円)を超えるラグジュアリーカーに特化したブランドとして2023年に設立された。第1号モデルの大型SUV「U8」は大きな注目を集め、月間販売台数が1000台を超えたこともあったが、2024年6月と7月はいずれも500台を割り込んだ。

自動運転技術は「2本立て」

「かつてのBYDは、自動運転技術をあまり重視していなかった。20万元(約405万円)以下の大衆車が主力で、自動運転技術を搭載しても(価格が高くなるため)消費者への訴求力が高まるとは限らないからだ。しかし高級車となると、話はまったく違ってくる」

ある自動車メーカーの関係者はそう語り、BYDの高級車の苦戦は自動運転技術の開発で後れを取ったことが背景にあるとの見方を示した。

今回のファーウェイとの提携は、BYDが高級車市場での伸び悩みを打開するきっかけになるかもしれない。とはいえ同社は、自動運転技術をファーウェイに全面依存するつもりはない。

提携の発表と同時に、BYDは今後の自動運転技術の開発について「社外とのオープンな協業と独自開発の2本立てで進める」と強調した。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月27日

財新 Biz&Tech

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