従業員100人当たり内部通報が多い会社ランキング 内部通報が機能しているかどうかの1つの基準
東洋経済オンライン / 2024年9月12日 8時0分
連日、ワイドショーなどで大きく取り上げられている斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑。この中で同県の元局長が行った公益通報に注目が集まっている。公益通報は公益通報者保護法で定められ、労働者などが所属する組織の法令違反を組織内の通報窓口や外部の報道機関などに通報することをいう。
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多くの企業は同法に基づき内部通報制度を整備し、不法行為でないものも含めて窓口で通報・相談などを受け付けている。この公益通報や内部通報は今回の兵庫県のように大きな問題が起きてから話題になることが多く、内部通報が機能しているかどうかを評価するための一般的な基準もない。
東洋経済CSR調査(『CSR企業総覧』に掲載)では10年以上、企業の内部通報件数を聞いており、「件数はある程度多いほうが望ましい」とこれまで説明してきた。だが、企業規模の違いなどで件数を並べるだけではその実態を表していないケースも少なくなかった。
トップは100人当たり3.11件のエーザイ
そうした中で、これまで制度が機能しているかの1つの見方としていたのが、「単独従業員100人に対して年間1件程度通報がある」という基準だ。これまでの経験から、この基準に該当すれば、大きな問題が起きにくいと感じていた。
さらに近年、通報窓口は子会社を含めてグループ企業を対象にすることが一般的となっている。そこで今回、連結従業員数100人に対して通報件数がどれだけあるかをご紹介することにした。
『CSR企業総覧(ESG編)』2024年版掲載1714社のうち相談等を含む内部通報件数の回答・開示があり(795社)、連結従業員数が1000人以上の321社を対象に連結従業員数100人当たり通報件数の上位100社をランキングした。どのような企業が上位になるのか。結果を見ていこう。
1位はエーザイ。通報件数344件に対して、連結従業員数は1万1076人。100人当たり3.11件となっている。全子会社にコンプライアンス窓口を設置し、海外子会社から本社への直通ラインを整備している。幅広く通報内容を受け付けているため、多くは規則等に関する問い合わせとなっているが、通報しやすい環境ができていることがうかがえる。
2位はゴールドウインの2.90件。連結従業員数1515人に対して、通報件数44件だった。全従業員が年1回、内部通報の研修を受講する。贈収賄を含む不正取引の禁止を掲げ、全従業員に誓約書を提出させるなどコンプライアンス意識は高い。
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