兵庫県知事が全力で辞任を拒む「3つの拠り所」 「辞めるタイミング」を逃した大きなリスク
東洋経済オンライン / 2024年9月13日 18時35分
さらには維新との関係が悪かった井戸前知事の痕跡を消し去るべく「新県政推進室」を設置。井戸前知事が計画した「新庁舎の建て替え」を取りやめ、「4割出勤」などを実施したが、職員の評価は芳しくなかった。
こうしたやり方が、多くの県庁職員の心を斎藤知事から離してしまったに違いない。そしてそうした不満の鬱積こそが、騒動のきっかけとなった告発文書問題を生む土壌となったのではなかったか。
だからこそ斎藤知事は、斎藤県政に関わる7つの疑惑を記した告発文書を入手した直後に片山安孝副知事(当時)らに「徹底的に調査するように」と命令を下し、片山氏が文書作成者である元西播磨県民局長のパソコンから「革命」「クーデター」などの文言を見つけ、「選挙で選ばれた知事を排除しようとしている」と判断したのではなかったか。
「まるで独裁者が粛清するかのような陰惨な構図」
その一連の様子を9月5日の百条委員会で奥山俊宏上智大学教授が「まるで独裁者が粛清するかのような陰惨な構図」と評した。独裁者は自分を客観視できないが、斎藤知事は6日の百条委員会で、「道義的責任とは何か、私はわからない」と言い切った。
もっとも当初は維新という“味方”がいて、百条委員会の開催に反対してくれたが、現在は86人の県議全員が辞職を求めている。それでも斎藤知事はその地位にい続けようとしているのは、不信任案が可決された場合に「解散」という対抗手段があるためだ。
現在の兵庫県議会は自民党が37議席、維新の会が21議席、公明党が13議席、ひょうご県民連合が9議席、日本共産党が2議席、無所属が4議席という構成になっている。
このうち維新は昨年4月の県議選で4議席から21議席と大躍進したが、現在はIR問題や斎藤知事問題で政党支持率が低迷。斎藤知事の問題の影響もあって、8月25日の箕面市長選では維新の現職が惨敗した。よっていま県議会を解散されては、特に維新は議席を大きく減らす可能性が非常に大きい。
もう1つの対抗手段が、9月の定例議会に提出予定の約100億円にのぼる補正予算だ。これについて斎藤知事は12日、記者団に「家計応援キャンペーンということで、プレミアム付きの商品券的なものをさせていただくことを予定しているし、LPガスの値上がりに対する支援をさせていただくことが中心になる」と披露したが、まさに県民の生活を“人質”としたやり方といえる。
また告発文書問題の内容を調査する第三者委員会も、斎藤知事の“居座り”の理由となるかもしれない。第三者委員会は9月18日に初会合が開かれ、来年3月上旬に調査結果が公表される予定だが、「それを待つ」という名目で、半年ほど粘ることができる。
兵庫県知事は幼い頃からの夢だった
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