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人手不足でも技術活用進まない「日本の不合理」 政治は国民生活に直結した問題解決を議論せよ

東洋経済オンライン / 2024年9月15日 11時0分

タクシーやバス、医療現場などさまざまなところで人手不足が発生している。技術を活用して人手不足問題を解決できないのはなぜなのか(写真:yamahide/PIXTA)

さまざまな分野で人手不足が深刻だ。運転手不足によるバスの減便、タクシー不足、介護現場での人手不足は、市民生活への重大な脅威になりつつある。自動運転技術やリモート診療などは、こうした問題を解決する重要な手段だ。ところが、日本では、さまざまな抵抗で導入できない。この問題を、総選挙の争点とすべきだ。

昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第129回。

運転手不足でバスの減便が深刻

人手不足が、国民生活のさまざまな面で深刻な問題を引き起こしている。その1つに、バス運転手の不足問題がある。運転手が足りないため、これまで地域の足になっていた路線バスを減便せざるをえない場合が続出している。

その結果、バス便が1日数本しかない場合が増えている。こうしたバス路線の「時刻表」のことを、「地獄表」というのだそうだ。炎天下で30分も待たされたとか、乗ったはよいが、その日のうちには帰ってこられない、などという話がある。

高齢になって運転免許証を返却してしまった人たちは、バスに頼らざるをえない。それがこのような状況では、日常生活に重大な支障が生じる。これは、文字通りの「死活問題」だ。

これは、「2024年問題」の影響だ。運転手の1年間の拘束時間や、勤務時間のインターバルに関する規制が強化されたため、もともと深刻だった運転手不足がさらに深刻になっているのだ。

「2024年問題」は、トラックの運転手の不足の原因にもなっている。

タクシーの運転手も足りない。このため、タクシーを捕まえにくくなっている。駅前であっても、雨が降っていたりする時には、いつまで待ってもタクシーに乗れない。

アメリカでは、AIによる無人タクシー

ところで、アメリカでは、すでに無人タクシーが実現している。アルファベット(グーグルの親会社)の傘下企業である自動運転企業ウェイモが、自動運転のタクシーを運営している。

カリフォルニア州のサンフランシスコでは、すでに実用化されて、市民の足になっている。そして、市民からは便利に利用されているようだ。これまでのところ、重大な事故の報告もない。

さらに、今年の10月には、テスラが「ロボタクシー」という完全自動運転の車を発表する。これは自家用車として発売されるのだが、持ち主が使わない時間帯には、ウーバーのサービスと同じように乗車サービスを第3者に提供することも可能になるようだ。

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