地球とほぼ同じ構造「金星」実は全然違う環境の訳 表面温度は400度以上、気圧も地球の90倍も!
東洋経済オンライン / 2024年9月16日 19時0分
誕生したばかりの頃、金星も地球もどちらも惑星全体がドロドロに溶けたマグマオーシャン(マグマの海)の状態でした。そしてどちらの惑星にも、大気中には水蒸気の状態で水が存在していました。しかし、太陽と距離が近い金星では、あまりの高温により水蒸気が液体の水になれなかったと考えられています。
一方で、地球では液体状態で水が存在することができ、海ができました。また、金星にも存在した二酸化炭素の大気が海に溶け込むことで、今のような生命豊かな環境になったのです。
金星の表面温度は400度以上、気圧も地球の90倍と高圧ですが、地面に着陸することなく、上空から電波を使うことで表面の地形を調査することができます。
1989年に打ち上げられた探査機「マゼラン」は、このような方法で金星の地形のほぼすべてを調べ上げました。その結果、標高1万m 以上の山や大きな火山、さらには大陸といった、地球と似た地形が存在していることがわかりました。また、巨大隕石衝突の跡や地滑りが起こった様子なども観測されています。
これほどまでに地球と似た地形を持つ金星ですが、その過酷な環境のため、人類が住むことはできそうにありません。
謎多き水星
太陽系の惑星の中で、太陽の最も近くをまわる「水星」。そのため、太陽の光が当たる昼間は400度を超え、まさしく灼熱の惑星です。
水星は他の惑星と比べて、地球からの距離が近いので身近なイメージがありますが、実は観測するのが難しい惑星でもあります。なぜなら、水星は地球よりも太陽に近い軌道をまわるため、地球が太陽を背にした夜には地球の裏側に水星が位置することになるので、私たちは観測に適した夜に水星を見ることができないからです。水星を見られるのは、太陽が沈んだ直後や日の出直前の短い時間だけです。とても観測が難しいために、他の惑星に比べて、長い間謎の多い惑星でした。
1973年には初の惑星探査機「マリナー10号」が打ち上げられましたが、水星への到達は他の惑星よりも、段違いに難しいものでした。
その原因はやはり太陽です。水星に向かうということは、同時に太陽にも近づくということ。強い日光や熱、強力な重力が探査機を襲います。太陽の重力はすさまじく、探査機はまるで坂を転げ落ちるように加速してしまいます。そのため、逆噴射で急ブレーキをかけて減速しなければ、水星の軌道に入ることができず、膨大なエネルギーが必要になるのです。このような理由から、これまで水星を訪れた探査機は「マリナー10号」と2004年に打ち上げられた「メッセンジャー」の2機だけです。
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