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新時代に入ったベンチャー業界の「活況」と「選別」 社数は増えたが、成熟期企業の調達環境は…

東洋経済オンライン / 2024年9月17日 8時0分

日本政府は2027年に「ユニコーン100社」を目指す

AIなどディープテック領域で大型資金調達が相次ぐ一方、成熟ベンチャーの調達環境は悪化。「優勝劣敗」が鮮明になっている。『週刊東洋経済』9月21日・28日合併号の特集は「すごいベンチャー100 2024年最新版」。激変下でも伸びる未来のユニコーンはここだ。

「数年前と比べてエコシステムが確立されてきた」

【4つの図表で知るスタートアップ業界の今】

ベンチャー関係者がそう語るように、日本のスタートアップの存在感が高まっている。その数は23年に2万2000社と21年比で5900社増えた(スピーダ調べ)。

盛り上がりは、国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」の様子でもわかる。京都の会場には過去最多の1万2000人が来場、人脈構築のために積極的に交流する姿が随所に見られた。

厳しい資金調達の現実

しかし資金調達の現実は厳しい。

国内スタートアップの資金調達総額は22年に過去最高の約9800億円だったが、23年は約8000億円まで下落。24年上期は約3200億円と前期を約2割下回る水準で推移する。欧米の金利上昇などが冷や水となり、投資家の姿勢は慎重なままだ。

成熟期での選別が進む

成長の段階によっても状況は異なる。「シード」や「A」といった立ち上げ間もないベンチャーへの投資額はほぼ変わらないが、ミドル(成長期)やレイター(成熟期)といった「C」や「D」の調達額の下落が続く。

ただ、レイターステージも厳しいベンチャーだけではない。クラウド型人事労務ソフトのSmartHRが7月に約214億円の調達を発表したように、有望企業には資金が集中する「選別」が進む。

投資家からの注目度が高いのは「ディープテック」と呼ばれる研究開発型企業。AI、航空・宇宙、バイオ、エネルギーなど、社会へのインパクトが大きい分野に資金が投じられている。そうした研究力や技術力を持つ大学にも目が向けられ、大学発ベンチャーの資金調達は年々増えている状況だ。

国も大型予算で全面支援

国も政府調達や補助金で支援する新たな「中小企業技術革新制度(日本版SBIR)」を昨年、本格始動。「ディープテックを成長させるレバレッジ(テコ)としたい」(経済産業省)考えだ。

VC(ベンチャーキャピタル)にも変化がある。ビヨンドネクストベンチャーズは、昨年設立したファンドで追加出資を含む1社当たりの最大投資額を従来の約3倍となる20億円に引き上げた。「ミドルやレイターの資金サポートも手厚くし、投資先企業を上場まで支える」(伊藤毅CEO)ためだ。

国が27年に100社を目指すユニコーンは現在10社程度。スタートアップの成長段階に応じシームレスに支援を展開していく、新たな段階に入った。

木皮 透庸:東洋経済 記者

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