減便した「朝の電車」元の本数なら混雑どうなる? ラッシュ時の輸送力、2019年度と比較して試算
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 7時0分
2020年度、この輸送人員は一気に約3万人も減り、5万1380人になった。この状況を受け、2022年春のダイヤ改正では最大の運転本数を1本減らして29本とし、翌2023年春の改正ではさらに1本減って28本となった。
2本減便された2023年度の輸送力は4万1440人分だ。ただ、輸送人員は6万5510人と2019年度の8割まで戻り、混雑率は158%となっている。もし1時間当たり30本・輸送力4万4400人を保っていたなら、混雑率は148%だった計算だ。
もっとも、2023年春のダイヤ改正では上記の時間帯を1本削減する代わりに、それより前の早朝に1本増発しており、以前よりも通勤客が分散する傾向にある中、本数の配分を変えたということができる。
また、中央線快速・青梅線では2025年春からグリーン車のサービスを開始する予定だ。現在10両編成の電車に2両のグリーン車を連結する。
東海道本線などの混雑率データを見ると輸送力にグリーン車は入っていない計算だが(13両分となっている)、利用者がグリーン車に移れば一般車両の混雑緩和につながる可能性はあるだろう。定員は2両で180人。1時間当たり28本なら5040人分のキャパシティが増えることになる。
混雑率のデータにある路線でいえば、2019年度比でもっとも輸送力が減ったのは山手線外回りの上野→御徒町間で、11両編成22本から17本へ約8100人分減少した。2番目は常磐線快速が約8000人分減っている(ただし、2019年度と2023年度で区間は異なる)。3番目は中央線各駅停車で約7400人分、4番目は常磐線各駅停車で約5600人分、5番目は山手線内回りで約4900人分だ。
これらの路線は2023年度の混雑率がいずれも140%以下だが、もし以前の輸送力であれば最大で110%台前半だった計算だ。
一方で、2019年度に比して2023年度でも輸送力を減らしていない路線もある。ただ、それで空いているかといえばまた別だ。
例えば京浜東北線の北行、大井町→品川間は、2019年度は輸送力3万8480人(10両編成26本)で輸送人員7万1350人、混雑率は185%だった。2023年度も輸送力は変わらず、それに対して輸送人員は約7割の5万6020人となったため、混雑率は146%になった。大幅に下がっているが、現在の平均的な数値からいえば混んでいるといえる。
埼京線の板橋→池袋間も、2019年度は輸送力2万7960人(10両編成19本)、輸送人員5万1850人で混雑率185%だったのが、2023年度は列車の本数は変わらず輸送力2万8040人、輸送人員4万4960人で混雑率160%となっている。輸送力は減っていないが、2023年度の混雑率は全国4位で、JR線では一番だ。
1本増えればだいぶ楽になるが…
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