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「ネコの宇宙葬」も!今どき"葬祭ビジネス"の中身 ペット葬儀・遺体安置…、展示会で見た最新事情

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 10時0分

1つは2010年代半ば以降、大手コンビニの出店が徐々に一巡したことだ。それに伴ってコンビニ向け冷蔵庫の成長も鈍化し始めた。

もう1つはいわゆる「火葬待ち」の発生だ。死亡者数の増加で都心部を中心に火葬場の混雑が指摘される状況になっている。これを受けて、ドライアイスで冷やすより手間のかからない遺体安置冷蔵庫のニーズが高まってきた。

最後の一押しとなったのはコロナ禍だった。コロナ感染者の遺体が病院から火葬場に直接搬送されるなどし、火葬待ちが深刻化。葬儀社などから問い合わせが相次ぎ、それまで要望に応じて作っていた遺体安置冷蔵庫の本格販売に乗り出した。

岩根社長は、コンビニ向け以外の新領域の柱の1つとして、遺体安置冷蔵庫の拡大に期待する。耐熱パネルを1枚1枚現場に持ち込み、葬儀場の空きスペースに合わせて冷蔵庫をつくるオーダーメードのメーカーは同社のほかにいないという。

会場には葬祭用品などとは毛色の異なる企業も出展していた。なかでも目を引いたのが、独立系金融アドバイザー(IFA)のMK3(東京都渋谷区)だ。

IFAは、特定の金融機関に属さず中立的な立場から資産管理を助言する金融商品仲介業者。MK3は、お寺などの宗教法人や学校法人をはじめとした公益法人を主な対象に事業を行っている。

MK3を創業した林雅巳社長は1989年に日興証券(現SMBC日興証券)に入社。2002年に独立、2014年にMK3を設立した。公益法人の顧客をずっと担当してきたことや、長期にわたって顧客に対応するIFAのビジネスモデルが、長く存続することを前提とする公益法人の資産運用に適していると考えて、今の事業スタイルにしたという。

お寺も「将来の備え」で資産運用

「ペット供養や宿坊などの各事業の強化と、土地や金融資産の有効活用。将来への備えのために、お寺の住職は真剣に悩んでいる」。出展ブースにいたMK3所属の松岡弘頼氏はそう話す。

地方で深刻な過疎化、さらには葬儀の簡素化や檀家離れなど、寺院を取り巻く環境は厳しさを増す。一方、お堂などの修繕は一定のサイクルで行う必要がある。しかも昨今の資材高や人件費上昇が費用を押し上げている。資産運用をやらない選択肢はもはやないというわけだ。

2010年代半ばには、ハイリスク商品である仕組み債の運用で巨額損失を抱え、財政の立て直しを迫られた宗派もあった。だが、それから数年を経て、資産運用に前向きに取り組み始めている。

社会貢献に配慮した事業に資金使途を絞るSDGs債に投資しつつ、インフレ対応として運用益確保を目指す宗派や、公的年金を管理・運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用手法をモデルに長期分散投資を行うと表明する宗派も出てきた。IFAの活用は時代の流れだろう。

緒方 欽一:東洋経済 記者

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