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「ハムレット」主人公がほぼツイ廃なのに名作の訳 シェイクスピアはパクリの天才だった?

東洋経済オンライン / 2024年9月22日 15時0分

そこに、イアゴーという男が登場します。彼はオセローに憧れているけど、そこまでの実力がありません。「俺はなんでオセローみたいになれないんだ」と、オセローに嫉妬するわけです。

そして、幸せの絶頂にあるオセローに噓を吹き込みます。オセローの妻・デズデモーナが、浮気をしているという、根も葉もない噓です。しかし純粋なオセローはイアゴーの巧みな話術と策略にすっかりはまり、その噓を信じて、嫉妬に駆られます。私がこんなに愛しているのに、なぜデズデモーナは他の男と浮気したんだ!と。

ここで混乱を生み出した張本人イアゴーは、怒り狂うオセローにこうささやきます。

用心なさい、将軍、嫉妬というやつに。
こいつは緑色の目をした化け物だ


(『オセロー』第三幕第三場)

ここで言う「将軍」とはオセローのことです。どんなに偉大な人間であっても、嫉妬で我を失ってしまえば、緑色の目をした化け物になるのだと。

化け物と化したオセローは、なんと最終的に妻のデズデモーナを殺してしまいます。実際に浮気をした事実はなく、イアゴーの真っ赤な噓だったにもかかわらず、それを信じて嫉妬に駆られてしまった結果の悲劇でした。

これがシェイクスピアの四大悲劇の1つ『オセロー』のあらすじですが、実は、この作品にも原作はあり、ジラルディ・チンツィオの『百物語』の中にある話がもとになったと言われています。しかし、実は、原作には「嫉妬」ということばはたった一度しか出てきません。

登場人物やあらすじはだいたい同じで不幸な話なんですが、ここに、シェイクスピアは「嫉妬」というテーマを加えたのです。実際、『オセロー』の中には「嫉妬」というワードがめちゃくちゃいっぱい出てきます。

原作をもとにしながらも、人間の普遍的な感情を作品のテーマとしたことで、世界中の人が読み、上演され続ける名作になりました。ここでの一滴のシェイクスピア・エッセンスは、「嫉妬」。素晴らしいアイディアですよね。

主人公がキャラ強めな『ハムレット』

シェイクスピアが原作をアレンジするときによくやる、もう1つのパターンが、キャラ設定をめちゃめちゃ強くする、というものです。代表的な作品が『ハムレット』です。

シェイクスピアの代表作ですが、これにも原作があると言われています。『スペインの悲劇』という戯曲が影響を与えたとされていますが、原作の主人公は、そんなにキャラは濃くなく、名前もハムレットではなく、ヒエロニモでした。

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