12年ぶり復権の野田元首相、政権交代に必要なもの 勝負のポイントは来年1月からの通常国会
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 19時30分
だが、民主党内では小沢一郎元代表のグループが反対。自民党は総裁が安倍晋三元首相に交代し、野田政権との対決姿勢を強めた。野田氏は衆院の解散・総選挙に追い込まれ、民主党は惨敗。自民党が圧勝して第2次安倍政権が発足した。民主党はその後、混迷を続け、民進党、希望の党などを経て、立憲民主党としてようやく自民党に対抗できる態勢を整えた。
2023年秋には自民党の裏金事件が発覚。自民党による真相解明は進まず、安倍派を中心とした関係議員は「秘書に任せていた」などと繰り返し、責任を回避した。
再発防止策としての政治資金規正法改正も不十分で、岸田文雄首相(自民党総裁)に対する世論の批判は強まった。事態を打開できない岸田首相は自民党総裁選への出馬を断念、退陣に追い込まれた。
逆風にさらされた自民党を尻目に「政権交代の好機」と見て腰を上げたのが野田氏だった。
野田氏の日課は早朝の駅立ちから始まる。最新の問題についてコメントを記したチラシを配る。
有権者に接している野田氏の言葉には力がある。銃撃で死去した安倍元首相に対する追悼演説は、与野党の議員をうならせた。一方で、ユーモアも忘れない。小泉進次郎元環境相が4代目の政治家であることに触れて「ルパンだって3世まで」と自民党の世襲議員をチクリと批判する。
野田立憲が自民党と向き合うスケジュールは以下のとおりだ。
自民党が9月27日に新総裁を選出。石破茂元幹事長、小泉元環境相、高市早苗・経済安保相のいずれかが選ばれる可能性が大きい。10月1日召集の臨時国会で新首相が選出された後、組閣を済ませ、所信表明演説、衆参両院での代表質問などを経て衆院が解散され、総選挙になだれ込む。
この総選挙こそ、野田立憲の最初で最大の試練だ。まず、党組織をまとめることが不可欠。民主党以来、政策や党運営をめぐって内部対立が続き、有権者の信頼を失ってきた。
小沢氏とは「恩讐を超えた」協力体制
2021年に枝野氏に代わって代表に就いた泉氏は、2022年の参院選で敗北したが、岡田克也幹事長や大串博志選挙対策委員長らが泉体制を支え、地道に国政選挙の候補者を発掘。2024年4月の衆院3選挙区の補欠選挙では、立憲の公認候補が3勝するという成果を上げた。
12年前に消費増税をめぐって野田氏と全面対立した小沢氏は、今回の代表選で野田氏を支援。「恩讐を超えた」(野田氏)協力態勢ができた。理念や政策が異なっても、自民党との対決を重視して結束していく政治文化が定着すれば、立憲にとって政治的な成熟を示すことになる。
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