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オランダがASML製「露光装置」の輸出規制を強化 先端半導体技術の対中禁輸をアメリカ並みに

東洋経済オンライン / 2024年9月25日 18時0分

オランダに本社を置くASMLは、先端半導体の製造に不可欠な露光システムの世界最大手だ(写真:ASML提供)

オランダ政府は9月6日、半導体製造用のDUV(深紫外線)液浸露光システムに関する輸出規制を改定し、翌7日から適用すると発表した。この新規制は、アメリカ政府の輸出管理規則の強化に足並みを揃えたものだ。

【写真】オランダ政府が対中輸出規制の対象に加えたAMSL製のDUV液浸露光システム

「輸出許可の要件が更新されたことに伴い、わが社はDUV液浸露光システムのTWINSCAN NXT:1970iおよび1980iの輸出に際して、アメリカ政府ではなくオランダ政府に許可を申請することになった」

オランダに本社を置く半導体製造装置大手のASMLは、9月6日付の声明の中でそう述べた。

ASMLは「影響なし」と説明

もっとも、輸出許可の申請先が変更されても、ASMLから露光システムを購入している中国の半導体メーカーに実質的な影響はないとみられる。というのも、アメリカ政府が2023年10月に対中輸出規制を強化した際、上述の2機種が事実上の禁輸対象に加えられ、ASMLはすでに対中輸出ができなくなっているからだ。

逆に言えば、今回のオランダ政府の規制強化により、中国企業がまだ購入可能なASML製の露光システムに変化はない。そのため、オランダ政府の新規制は「わが社の2024年の業績見通しや長期的な業績シナリオに影響を与えない」と、ASMLは説明している。

オランダ政府がこのタイミングで輸出規制を改定した裏には、前日の9月5日にアメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)が発表した新たな指針がある。その中でBISは、先端半導体製造装置の輸出についてアメリカと同レベルの輸出管理を実施する国に対し、アメリカ政府への輸出許可申請を免除する特例措置を設けるとした。

この指針の狙いは(オランダ、日本、韓国などの)半導体製造の先端技術を保有する国々に対してアメリカ政府が圧力をかけ、同レベルの対中輸出規制の導入を促すことにほかならない。

アメリカ政府は、半導体製造装置の対中輸出規制の範囲を拡大し続けている。2023年10月には、中国の半導体メーカーによる回線幅14nm(ナノメートル)以下のプロセス技術の会得を阻止しようと、ASMLのDUV液浸露光システムTWINSCAN NXT:1980Diの対中輸出を事実上封じた。

禁輸対象は拡大の一途

2024年1月には、1980iの一世代前の1970iも対中輸出ができなくなったことを、ASMLが決算説明会で明らかにした。同社のピーター・ウェニンクCEO(最高経営責任者、当時)は財新記者の取材に対し、「これら2機種はスペックの差が小さく、同一製品と見なされた」と理由を説明した。

ASMLの公表資料によれば、1980iの初出荷は2016年、同一機種の露光装置間のマッチング精度(MMO)は2.5nm、1970iの初出荷は2013年、MMOは3.5nmだ。

現時点で中国の半導体メーカーがASMLから購入できる露光システムは、1970i の前世代でMMOが4.5nmの1965Ci、またはそれ以下の性能の機種に限られている。

(財新記者:杜知航)
※原文の配信は9月6日

財新 Biz&Tech

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