立憲・野田代表の「政権奪取」戦略の"落とし穴" 刷新感重視の新体制も、程遠い「ノーサイド」
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 9時30分
さらに野田氏は、自らの代表選出馬での“中核”となった党最長老・小沢一郎衆院議員(82)を次の衆院選に向けた総合選挙対策本部の本部長代行に起用する意向も固めている。
そこで新執行部の顔ぶれをみると、小川氏は衆院香川1区選出で当選6回。2021年の党代表選に出馬し敗れたが、泉健太代表(当時)の下で政調会長を務めるなど中堅若手の代表格の人物。また、重徳氏は衆院愛知12区選出で当選4回。2019年に中堅・若手議員でつくるグループ「直諫(ちょっかん)の会」を設立し、会長を務めるなど、党内に一定の地歩を築いている。さらに、笠氏は衆院神奈川9区選出で当選7回。民放テレビ出身で旧希望の党で国対委員長をつとめるなど国会運営の経験が豊富なベテラン議員だ。
「穏健な保守層」取り込みに意欲と自信
そもそも野田氏は、代表選出に先立つ党大会での演説で「格差を是正し、分厚い中間層を復活する」「金権政治を終わらせ、世襲を制限する。政権交代こそが最大の政治改革だ」などと訴えたことが勝利に結びついたとみられる。
野田氏自身は自らの勝因について、記者会見などで「コアな立憲支持者だけでなく、もう少し幅広く無党派、本来は自民支持の人たちに届くメッセージを出せる可能性に期待した人もいるのでは」と分析。さらに「リベラルな方向と仲良くやりすぎているイメージが立憲の抱える課題だ」と、「立憲共産党」とも揶揄された枝野氏の党運営を間接的な表現で批判してみせた。そのうえで、次期衆院選の基本戦略とする、裏金事件で自民に強い不満を持つ「穏健な保守層」の取り込みに、強い意欲と自信をにじませた。
野田氏は2011年9月から2012年12月の自公政権復活まで、旧民主党政権で3人目の首相を務めた。その中で、財務相経験者として、当時の野党だった自民、公明両党との間で、政権公約(マニフェスト)になかった消費増税を推進し、増税に反対する小沢氏らの反発によって党分裂を招き、2012年11月中旬の党首討論で衆院解散を宣言し、それを受けての12月中旬の衆院選で大敗し、退陣に追い込まれた。
そうした「過去」も踏まえ、野田氏は代表選勝利後、メディア出演などで「本気で政権をとりにいく」と繰り返す。その野田氏が最大のアピールポイントとしているのが、2022年10月に衆院本会議で行った故安倍晋三元首相の追悼演説だ。その中で野田氏は、生前の安倍氏が2人だけの密談で野田氏に伝えた言葉として「自分は5年で返り咲いた。あなたにも、いずれそういう日がやってくる」を紹介、議場をざわめかせたことが念頭にあるとみられる。
「野党1本化」や国民民主との「合体」も困難
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