インテル「独り負け」招いたCEO肝煎り事業の混沌 時価総額はAMDの半分以下、直近業績は赤字転落
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 8時0分
「すべての視線がわれわれに注がれ続けるだろう。 少しの隙もなく戦い、これまで以上の結果を出さなければならない。それが、批判してくる人々を黙らせる唯一の方法だからだ」
【図で見る】コロナ禍後にインテルの業績は急降下、過去最低水準まで落ち込む
9月16日、インテルの全従業員が受け取ったメッセージは、並々ならない危機感で溢れていた。送り主は同社のパット・ゲルシンガーCEOだ。
半導体業界のかつての盟主、インテルが苦境に陥っている。同社の2024年1〜6月期の決算は、売上高は255億ドル(前年同期比3.6%増)、営業利益は30億ドルの赤字で着地。1990年以来で最低の利益水準だった昨年に続き、2024年通期でも厳しい状況が続く見込みだ。
株価の面でもインテルの独り負けは鮮明だ。足元のインテルの時価総額は970億ドル(約13.8兆円)と、この1年で半分になった。2024年初めまで2000億ドル前後で競っていた、ライバルのCPUメーカーAMDの時価総額はAI半導体ブームもあり、2500億ドル(35兆円)超まで伸びたのとは対照的だ。
リストラとファウンドリー分離を発表
こうした状況を受け、同社は決算発表と併せて全従業員の15%にあたる1万5000人のリストラを発表。すでに2023年に大幅に引き下げていた配当も、当面は停止すると発表した。
リストラ策と併せて注目されたのは、ファウンドリー(半導体の受託製造)事業を子会社として分離するということだ。ファウンドリー事業は、2021年にパット・ゲルシンガーCEO体制になった際、劣勢からの逆転を狙って参入を決めた分野だった。
こうした動きから透けて見えるのは、成長を追い求めて自ら進んだファウンドリー事業に押しつぶされそうになる巨人の姿だ。
言わずと知れたCPU(中央演算処理装置)の大手メーカーであるインテル。同社の事業領域は大きく2つだ。「Core i」シリーズなどで知られるPC向けと、「Xeon(ジーオン)」というブランドで展開するサーバー向けのCPUだ。それぞれ、売上高の57%、23%を占めている。
2010年代前半までは、これらのCPU市場で100%近いシェアを誇っていた。だが10nm以降の微細化競争で躓き、製造を台湾TSMCに委託していたAMDの台頭を許すことになる。
近年はソフトバンクグループ(SBG)傘下のアームの攻勢も受けるようになっている。もともとスマホ向けに強いアームは、SBGによる買収後、PCやサーバー向けにも進出。アームのレネ・ハースCEOは「2030年までにはウィンドウズPCの過半がアームベースのCPUになる」と意気込むほどだ。
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