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「虎に翼」寅子モデルが裁判官"退官後"綴った想い 5000人の非行少年・少女と向き合った三淵嘉子

東洋経済オンライン / 2024年9月27日 10時30分

「補導委託」とは、家庭裁判所が非行のあった少年の最終的な処分を決める前に、民間のボランティアに少年をしばらく預けて、仕事や通学をさせながら、生活指導をしてもらう制度のことだ。

非行少年とじっくりと向き合うのは、相当な根気が必要で、簡単なことではない。それでも更生する可能性をできるだけ探るのが、嘉子だった。

「少年は本当に変わりやすく、その人間性は固定していません。少年を改善させることは困難な仕事ですが、どんな少年でも改善の可能性を持っています」

これこそが、5000人もの少年・少女と対話をするなかで、嘉子が得た確信だった。嘉子は少年犯罪の厳罰化に反対を貫いている。

女性法律家の道を切り拓いた

嘉子が司法科試験に合格したのは1938(昭和13)年で、当時は女性が裁判官や検察官にはなれなかった。そのため、嘉子はまず弁護士となり、その後に裁判官に転身を果たした。

それから80年以上の月日が経ち、「男女共同参画白書 令和5年版」によると、司法分野における女性が占める割合は、裁判官は23.7%(2021年12月現在)、検察官は25.8%(2022年3月31日時点)、弁護士は19.6%(2022年9月30日時点)となっている。

嘉子が仲間とともに切り拓いた道は、これからも広がりを見せることだろう。

【参考文献】
三淵嘉子「私の歩んだ裁判官の道─女性法曹の先達として─」『女性法律家─拡大する新時代の活動分野─』(有斐閣)
三淵嘉子さんの追想文集刊行会編『追想のひと三淵嘉子』(三淵嘉子さん追想文集刊行会)
清永聡編著『三淵嘉子と家庭裁判所』(日本評論社)
神野潔『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター)
佐賀千惠美 ‎『三淵嘉子の生涯~人生を羽ばたいた“トラママ”』(内外出版社)
青山誠『三淵嘉子 日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」』 (角川文庫)
真山知幸、親野智可等 『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

真山 知幸:著述家

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