金融庁が生命保険業界の「便宜供与」を実態調査 「マネードクター」のほか「保険市場」も照準に
東洋経済オンライン / 2024年9月27日 18時0分
生保へのヒアリング内容や調査票の回答と、FPパートナーの報告内容を精査し整合性がとれない場合は、FPパートナーに対して立ち入り検査に踏み切る可能性がある。
またFPパートナーは、生保のほかにクレジットカード会社などから見込み客の情報提供(リーズ)を受けて、カード会社との共同募集の形で保険を販売している。もし社内で割り増し評価を受けられる商品を優先的に推奨していた場合は、カード会員の最適な商品選択を阻害していた懸念がある。
そのため、会員の情報を提供している三井住友カードなどカード会社も今後対応を迫られそうだ。
金融庁による取り締まり強化に向けた動きはそれだけではない。
9月20日には、生保各社に代理店への便宜供与と、出向者の派遣状況などに関する調査票を送付している。9月9日付の調査票と一部内容が重複しているが、便宜供与については過去に取りやめたものを含めて詳細に回答するよう求めるなど、一段と踏み込んだ質問内容になっている。
金融庁は、今後の監督指針改正に向けた追加の調査だと生保各社に説明しているが、この調査のきっかけになったのも「FPパートナーだ」と大手生保のある役員は解説する。
FPパートナーへの広告提供などに関して調べを進める中で、億円単位の広告料の提供など一部生保が手厚い支援をしている乗り合い代理店が、FPパートナー以外にあることが判明。金融庁としても詳しく調べる必要が出てきたのだという。
アドバンスクリエイトとの取引について調査
その代理店とは、FPパートナーと同じく東証プライム市場に上場しているアドバンスクリエイトだ。同社はグループで「保険市場」という保険比較サイトを運営。サイトのトップページや商品カテゴリー別のページなどに生保各社の商品広告を掲載しているほか、再保険事業も手掛けている。
中堅生保のある幹部は「広告取引はSBI生命保険、ライフネット生命保険、アフラック生命保険、チューリッヒ生命保険、はなさく生命保険、なないろ生命保険あたりが多いと聞いている」と指摘。
さらに「過去に、保険市場への広告出稿を断ったら(アドバンスクリエイトでの)新規契約があからさまに減ったことがある。保有する医療保険の出再(再保険に出すこと)を断ったときも同様だった」と声を潜める。
ほかの販売ルートでは新規契約に大きな増減がなかっただけに、広告などの取引を断った影響と考えざるをえないという。広告や再保険の取引の有無が、比較推奨販売に影響を及ぼしている部分が少なからずあるということだろう。
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