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ダンロップ「夏冬兼用タイヤ」で市場激変の可能性 本当に夏冬1本でOKなオールシーズンタイヤ

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 10時30分

夏タイヤとしても冬タイヤとしても十分な性能を持つとなれば、日本のタイヤ市場を変革させる可能性もあるかもしれない。

2023年、日本では4704万9000本の市販用タイヤ(乗用車用)が出荷された。そのうちの66.6%が夏用タイヤ(オールシーズンを含む)で3133万2000本、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)が33.4%の1571万7000本となる(一般社団法人日本自動車タイヤ協会:JATMA調べ)。

つまり、全需要のうち、3分の1がスタッドレスタイヤなのだ。それに対して、オールシーズンタイヤは、わずか数%しかないと言われている。ちなみに、北米市場は6~7割がオールシーズンタイヤだという。

こうした数字からもわかるように、日本はスタッドレスタイヤが強い市場だ。その理由は、日本の気温にある。日本の冬の気温は、0℃前後を行き来することが多い。その温度域だと、雪が降っても解けやすく、それが凍ってアイスバーンになってしまう。

そのため、凍った路面に強いスタッドレスが強く支持され、凍った路面を苦手とする旧来のオールシーズンタイヤは、あまり売れ行きがよくなかったのだ。

オールシーズンタイヤの人気が高い北米の寒冷地域では、マイナス10℃やマイナス20℃もめずらしくない。ここまで気温が低いと雪が解けないため、路面がツルツルのアイスバーンにならないのだ。

そのため日本と違って、オールシーズンタイヤが使いやすい。地域によっては、オールシーズンタイヤが新車装着となっているほどだ。

そんな背景の中で、シンクロウェザーは、オールシーズンタイヤでありながら夏・冬それぞれの性能を格段に高めてきた。特にスタッドレスタイヤに匹敵する冬場の性能を持つことは、注目に値する。

1年を通じてオールシーズンタイヤで済まそうというユーザーも、増えることだろう。サイズのラインナップも15~19インチと幅広いから、多くの車種で装着できる。

ブリヂストンは国内にオールシーズンタイヤなし

価格的にはダンロップ・ブランド内でも、もっとも高額な商品となる。しかし、スタッドレスタイヤとホイールを購入する費用、オフシーズンに保管しておく場所(場合によっては費用がかかる)、そして交換する手間を考えれば、コスパは悪くない。シンクロウェザーが、ヒット商品となるポテンシャルはある。

そこで気になるのが、ダンロップ最大のライバルであり、市場の王者であるブリヂストンの動きだ。ブリヂストンは、国内シェアの半数以上を抑える圧倒的強者である。

特にスタッドレスタイヤの「ブリザック(BLIZZAK)」は、市場から高い評価を得ているため、これまでブリヂストンは、国内向けにオールシーズンタイヤを導入していなかった。

しかし、国内市場でオールシーズンタイヤの販売が伸びるようになれば、路線変更もありうるだろう。「次世代オールシーズンタイヤ」を自称するシンクロウェザーが、国内タイヤ市場のゲームチェンジャーになる可能性は十分にある。この冬のタイヤ市場の動きには、要注目だ。

鈴木 ケンイチ:モータージャーナリスト 

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