1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

意図伝わらず「文章切り取りで炎上」なぜ起きるか 「誤答の並列化」を知ると、意図が理解できる

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 19時0分

(写真: metamorworks / PIXTA)

「文章を書くのが苦手」「何を書いていいかわからない」。そんな悩みを抱く人も多いのではないでしょうか。『一度読んだら絶対に忘れない文章術の教科書』を上梓した辻孝宗先生は、毎年東大合格ランキング上位に入る、全国屈指の難関校・西大和学園で国語を教えています。辻先生が文章の切り取りで炎上が起きる背景を解説します。

一部を切り取られて、発言が炎上

「前後の文脈から一部の発言だけを切り取るのは間違っている!」

【写真】『一度読んだら絶対に忘れない文章術の教科書』(辻孝宗著)では、大人にも役立つ文章術を伝授

こんな言葉を日頃耳にすることも多いのではないでしょうか。政治家の発言が炎上し、「そこだけ切り取ったらそういう発言に見えるかもしれないが、趣旨はまったく逆だ」と弁明する、なんてことはよくありますよね。

学校で生徒たちと接していても、「Aくんが自分にこんなことを言った!」「いや、自分はそういう意図じゃなかった!」というようなやり取りはよく見られます。

これらの現象は、とある文章のテクニックを知っている人と、知らない人の間でしばしば起こることです。国語の授業でそのテクニックを習っている人であれば、こうしたコミュニケーションでの行き違いは発生しないのです。

今回は、文章を書いたり読んだりするときや、人の話を聞くときにも使える、「誤答の並列化」というテクニックをご紹介したいと思います。

まずは、この文章を読んでみてください。

なぜこの店は繁盛しているのだろうか?
立地が良いのか、と考えると、そうではないとわかる。ここはとても辺鄙な場所にある。広告を打って人が多く集まっているのでは?と考える人もいるだろうが、そんなことはしていない。それなのになぜ、この店はたくさんのリピーターがいるのだろうか?
その答えは、味だと私は考える。

これは、「なぜこの店は繁盛しているのか」という問いを持ち出しつつ、その答えが「場所」や「広告」ではないということを先に示し、満を辞して「味」という本当に伝えたかったことを最後に持ってきています。これは、問いかけに対して、あえて間違った回答を挟み、「誤答の並列」をすることで、正解を際立たせる手法なのです。

誤答の並列化
「Q1 この問いの答えは?」
「Q2 この問いの答えはAか?」「A2 違う」
「Q3 この問いの答えはBか?」「A3 違う」
「A1 この問いの答えはCだ」

この文章は「なぜこの店は繁盛しているのか?その答えは、『味』だ」だけで成立します。それが伝えたいことであり、それ以外はなくても文章として十分成立するものです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください