新築マンション「売れ行き悪化」でバブルしぼむか 「1億超えの衝撃」報道で大量発生した投資家の行方
東洋経済オンライン / 2024年9月28日 8時0分
新築マンションの売れ行きが悪化している。しかし、月次で発表される不動産経済研究所の市場動向データは、前年同月比と前月比という分析にとどまるため、今年に入ってから8カ月経過時点での「売れ行き悪化」と報道されてはいない。
首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の売れ行きの実態はこうだ。2024年8月までの販売戸数累計は1万1290戸、平均販売価格は7819万円、戸数×価格となる売り主の売上総額は8828億円となる。
前年同期は、販売戸数累計は1万4562戸、平均販売価格は8894万円、売上総額は1兆2950億円となる。これを前年同期比にすると、販売戸数が22%減、価格が12%減、売上は32%減となっている。
とはいえ、マンション全体の売れ行きが悪いとは思っていない。なぜなら、中古マンション市場が拡大しているからだ。2024年8月までの販売戸数累計は前年同月比4%増、価格は同9%増、売上は同14%増となっている(東日本不動産流通機構の月次データから集計)。
報道を受けて投資家がマンション購入に走った
ではなぜ報道にこだわるのかと言うと、報道が市況を変えてしまったと思っているからだ。コロナ下ではステイホームを強いられたために、住み替え検討者が多く、需要過多で総じて価格は上がった。こうした動きに敏感だったのは都心3区の中古マンション市場だった。
2020年第一四半期と比較して、コロナ下である翌年同期の単価は10.4%アップ、その翌年はさらに13.9%アップした。ステイホームから全国旅行支援などの「外出奨励」へと180度転換が行われたその翌年は0.7%アップとほぼ横ばいとなった。家探しよりもレジャーが優先し、買い手が少なくなったからだ。
しかし、それが一変する報道が発表される。2023年3月の首都圏新築マンションの平均価格が初めて1億円を超えて、1億4360万円と発表されたのだ。都心好立地の2つの高額物件が同時期に販売されたからだが、この数字は前月比で212%、つまり2倍以上になったことになる。
そもそも物件数が少ない中で、月をまたいだ違う物件を比較しても意味がないものの、これは素人目には「都心マンションの高騰」ととらえられたようだ。
値引き交渉せずに即日満額で購入
ここで、中国人をはじめとした投資家がマンション買いにむかう。日本でも個人の富裕層や事業法人が検討し始め、私も多くの相談を受けた。この頃、「価格が上がると買う人が少なくなる」という需給バランスを主張する専門家がいたが、現実は逆の方向に動いている。値上がり報道が投資家を呼んでくるというのが今回の市場の実態だったのだ。
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