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「寿司とインド」が双日のリテール事業を左右する 「世界最大の寿司市場」アメリカでは矢継ぎ早に手

東洋経済オンライン / 2024年9月29日 8時0分

2023年には冷凍マグロ加工販売のトライ産業を買収した。同社は冷凍マグロの仕入加工や販売などの一貫体制を確立し、国内市場シェア約15%を占める。

国内収益基盤の確立と海外展開を見据えた商材の充実は着実に進みつつある。今後は実際に海外市場を開拓していくステージだ。

「低すぎる」リテール事業の資本効率

一方、水産事業が属するリテール・コンシューマーサービス本部は、正念場を迎えている。

2026年度までの中期経営計画では、投下資本に対する基礎的営業キャッシュフローの割合(CROIC)を前中計平均の3.1%から6%に引き上げるミッションが課せられた。金属・資源・リサイクルなど7つある本部の中で、最も大きく資本効率を引き上げなければならない。

双日の植村幸祐社長は「伸ばすというより、今が低すぎる。われわれは好んで収益性が低いところに投資しているわけではない。6%まで持っていかなければ投資した意味がない」と発破をかける。

水産事業の純利益は中計最終年度の2026年度に40億円とする。直近実績の2023年度は12億円だったので、約3.3倍に伸ばす計画だ。

リテール・コンシューマーサービス本部の利益伸長を左右するカギは、水産事業だけでない。インドなどアジア圏での流通事業拡大だ。

足がかりとなるのは、2022年から出資参画するインドのスタートアップ企業インテリジェント・リテールだ(2023年に追加出資)。卸売り事業を営む同社は同業向けに小売店からの受注、配送、在庫管理などを一元管理できるシステムを開発した。メーカーとリアルタイムの情報共有ができ、タイムリーな販売状況の把握や配送管理が可能になる。

「大手メーカーからの商品取り扱いがドミノ倒しのようにこのシステムに切り替わっている」(村井氏)という。双日はこのスタートアップをテコに、インドの食品・消費財の流通網に食い込んでいく戦略だ。

流通網からインドを攻略していく背景には、ベトナムでの成功体験がある。

狙うは「成長ストーリー」の再現

双日はスーパーからホテルまで4万社以上の取引先を持つベトナムの食品卸会社フン・トゥイ社を2012年に子会社化した。2016年には食品卸大手の国分グループ本社と合弁で、常温から冷凍まで4温度帯で製品を保管できる倉庫事業を始めた。この倉庫はフン社も利用する。2023年には業務用食品卸会社も買収している。

食品卸事業を拡大する過程で、双日は小売りビジネスへの進出チャンスをつかむ。イオン傘下のミニストップと現地でコンビニ事業を展開、業務用冷凍食品の日東ベストと合弁で総菜の製造販売にも手を広げている。

今年に入ってからは、小売店のオンライン受発注システムやキャッシュレス決済アプリなどを開発する現地企業に出資し、流通網をデジタルで連携させる事業にも着手している。

「ベトナムでは供給網が完全につながってきた。この成長ストーリーをインドで再現させたい」。村井本部長は力を込める。

リテール・コンシューマーサービス部門の2023年度の純利益は131億円。双日が「ネクストステージ」とする2030年頃には300億円まで利益を拡大させる計画だ。「アメリカの寿司」と「インドの流通」の成否が計画達成をも左右する。

森 創一郎:東洋経済 記者

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