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総裁選「高市失速→石破大逆転」が起きたなぜ ノーサイドで最後に笑ったのは誰だったのか

東洋経済オンライン / 2024年9月29日 17時10分

(写真:Toru Hanai/Bloomberg)

史上最多の9人が出馬し、議員票367票(高橋はるみ参院議員が欠席・棄権で1票減)・党員票368票を争った自民党総裁選では石破茂元幹事長が選任された。

上位2人の決選投票では、石破氏が高市氏を逆転。決選投票で逆転するのは、故・安倍晋三元首相が復権を果たした2012年9月の総裁選以来だが、この時に涙を飲んだのは石破氏だった。

過去には大逆転された石破氏

当時石破氏は1回目の投票で、議員票こそ34票にとどまったものの、165票もの党員票を獲得し、議員票54票・党員票87票の安倍氏をぶっちぎりで引き離した。「党員に人気のある石破氏」のイメージはこの頃から作られたと記憶している。

だから今回の総裁選でも、党員票では石破氏が優位と思われたが、なんと高市氏が1票差でリードした。しかも高市氏は予想を大きく上回った議員票を獲得。ちなみに筆者が入手した9月20日現在のリストでは、高市氏が確保した議員票は32票にすぎず、その後の各社報道でも、だいたい同じ数字だった。

それが総裁選当日に72票と大きく増えたのは、“麻生票”が入ったためだ。一部のメディアが投開票日の前夜、麻生太郎元首相から「高市に入れろ」と“指示”が飛んだと報じている。

「実際には“指示”というほどのものではなかった。すでに他の候補の推薦人になっている人もいるし、まあなんというか、『2回目には高市に入れてくれないか』といったところか」と、麻生派の関係者が打ち明ける。

そもそも麻生氏は河野太郎デジタル相を支援することを表明済みだ。実際に茂木敏充幹事長が麻生氏に支援を求めた時、「うちには(河野)太郎がいるから」と断っている。

だが2021年の総裁選で決選投票に残り、岸田文雄首相と闘った河野氏は、今回の総裁選では議員票22票・党員票8票と冴えず、「首相候補」から脱落。「もはや河野は人気がない」ことを事前に察知して、麻生氏は「死票にするよりも」と、高市氏に議員票を振り分けたのだろう。

その高市氏の党員票はぐんぐんと伸びていた。もし麻生氏が小泉氏と2位争いしていた高市氏に加勢して小泉氏を追い落とせば、その背後にいる菅義偉前首相を刺すこともできる。今回の総裁選は次期総理総裁を選ぶ選挙であると同時に、キングメーカー同士の争いでもある。

うまく立ち回った岸田首相

一方で岸田首相は、最終的には石破氏を支持した。岸田首相は2021年12月、自民党内に総裁直轄の財政健全化推進本部を立ち上げ、財政余力の確保を目指した。また、2023年4月には新たな日銀総裁に、異次元の金融緩和を死守した黒田東彦前総裁に替えて植田和男総裁を任命。植田日銀は2024年3月、マイナス金利解除を決定した。

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