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欧州委、中国製EVの「輸出自主規制」提案を拒否 追加関税の回避めぐり中欧が土壇場の駆け引き

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 19時0分

欧州委は中国製EVに対する追加関税を決定した一方、自主規制受け入れの余地があることも示唆する。写真は中国の港で船積みを待つ上海汽車集団製のEV(同社ウェブサイトより)

中国製EV(電気自動車)に対するEU(欧州連合)の追加関税をめぐり、複数の中国メーカーが提出した(自主的な)輸出規制案を、欧州委員会(訳注:EUの政策執行機関)が拒否したことがわかった。9月12日、同委員会のオロフ・ギル貿易担当報道官が明らかにした。

【写真】欧州委員会のオロフ・ギル貿易担当報道官

ただし、中国メーカーの提案は門前払いされたわけではない。ギル報道官によれば、欧州委は交渉を通じた解決に向けて「引き続きオープンかつ柔軟に対応する」という。

一方、中国商務省の報道官は9月12日の定例記者会見で、王文濤商務相が近く訪欧し、欧州委のヴァルディス・ドムブロウスキス上級副委員長(貿易担当)と会談すると発表した。

太陽光パネルに自主規制の前例

中国政府と欧州委は、追加関税の根拠とされた中国製EVに対する(中国政府の)補助金の問題について、今後も協議を継続し妥協点を探る。

(訳注:王氏とドムブロウスキス氏は9月19日、EU本部があるベルギーのブリュッセルで会談したが、双方の溝は埋まらなかった)

欧州委が今回拒否した中国メーカーの提案について、ギル報道官はその具体的な内容は明らかにしなかった。しかし関係者の間では、中国メーカーがヨーロッパ向けのEVの輸出価格を一定以下に保つと同時に、輸出台数にも上限を設ける提案だったと見られている。

というのも、中国とEUの間にはそのような自主規制の前例があるからだ。2013年8月、中国製太陽光パネルに対する反ダンピング措置をめぐり、欧州委は中国メーカーの自主規制案を受け入れた。この時の提案内容も、輸出価格および輸出数量の上限を定めたものだった。

ヨーロッパのメディアの報道によれば、欧州委員会は中国の自動車メーカーおよび業界団体から合計5つの自主規制案を受け取った。

提出したのは国有自動車大手の上海汽車集団、EV大手の比亜迪(BYD)、民営自動車大手の吉利汽車(ジーリー)、中国機電製品輸出入協会の3社1団体。そのうち吉利汽車は、1社で2つの提案を出したという。

ギル報道官によれば、欧州委はこれらの自主規制案について「EVの価格競争力に与える中国政府の補助金の影響を十分に相殺できるか」、「自主規制が合意通りに履行されているかどうかの十分な確認や監督ができるか」などの観点から検討した。

中国側提案は不十分と判断

その結果、欧州委が提案の拒否を決めたのは、中国側が示した条件では上述の基準を満たせないと判断したからにほかならない。

欧州委は中国製EVを対象とする反補助金調査に2023年10月に着手し、2024年7月5日から追加関税の暫定適用を開始。さらに8月20日、反補助金調査の結論を公表すると同時に、正式適用時の追加関税率を決定した。

とはいえ、追加関税の正式適用は10月末までに実施されるEU加盟27カ国の投票で可決される必要があり、反対票を投じる加盟国もある。追加関税の正式適用を回避したい中国側と、欧州委との駆け引きが土壇場まで続きそうだ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月13日

財新 Biz&Tech

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