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ビズリーチ"あの大企業社長"出演CMで訴える本気 「年収1000万円超」ハイクラス転職が増えた背景

東洋経済オンライン / 2024年10月2日 8時0分

ビズリーチは2009年の創業当初からハイクラス人材に特化、ダイレクトリクルーティングという手法で唯一無二のポジションを確立してきた。競合となる人材紹介サービスもハイクラス領域を強化しているが、今のところビズリーチの脅威となるライバルは現れていない。

サービス向上へ積極投資

旺盛な即戦力人材の転職・獲得ニーズを取り込んで成長を続けてきたが、クライアントは中小・中堅企業が中心だった。しかし、この1~2年で大企業の利用も増えてきた。

成長を支えるのが、サービス向上への投資だ。2023年7月には、求職者向けに生成AIを活用したレジュメ(職務経歴書)自動作成機能を提供。採用企業向けには、同11月に求人自動作成機能の提供を始めた。

適切なレジュメ、求人票の作成がわからないという悩みに対応することで使い勝手を向上。実際に、レジュメ自動作成機能によりスカウト受信数は4割増えたという。

引き続きビズリーチでは日本企業の採用意欲が続くと見ており「スタートアップなど黒字化を目指す企業は厳選採用の傾向もあるが、外資系企業の一部は採用を再開するなど、緩やかながらも回復基調が見られる」(末藤CFO)。今2025年7月期も高い成長を見込み、営業利益率4割を維持する計画だ。

営業利益の成長率は1桁にとどまるが、これには2つの要因がある。1つは営業やエンジニアなどの採用強化、一部職種の給与水準引き上げといった人件費の増加、そしてオフィスの増床および再編・集約費用(10億円)を見込む。

2つ目は、ビズリーチに次ぐ柱として育成中のHRMOS(ハーモス)事業のプロモーション強化だ。ビズリーチが社外人材採用のためのプラットフォームだとすると、ハーモスは社内人材登用のためのプラットフォームとなっている。

ハーモスには従業員のデータベースを基盤として、採用管理や目標・評価管理、勤怠管理といったさまざまなサービス・機能がある。今年7月には給与計算機能をそなえた「HRMOS労務給与」も提供。人事業務支援と従業員情報を一元化・可視化し、データに基づく人財活用を実現するサービスを目指している。

ハーモス事業では、今下期に「社内版ビズリーチ」の本格提供も予定する。ビズリーチで培ったノウハウを生かし、生成AIを使った社員のレジュメ作成、企業内のポジション要件を作成する。これを社内でのタレント検索や社内公募に生かし、企業内の最適配置の実現を目指している。仮に社内人材で充足できないポジションがあれば、ビズリーチで外部から採用するといったシナジーも見込める。

転職からキャリア全般の支援へ

ビジョナルの南壮一郎社長は決算説明会で「転職市場のデータプラットフォームと、人材活用のタレントマネジメントプラットフォームの両方を提供しているのはわれわれだけ。これを圧倒的な競争優位性として生かし、企業の人的資本経営における課題解決に生かしていきたい」と意気込んだ。

ハーモスの前期は約10億円の営業赤字だった。今期は積極的なプロモーションにより前期同水準の赤字想定で費用先行が続くが、2026年7月期に黒字化を計画する。売上高の87.5%をビズリーチ事業が占める中、転職以外の場面でも人材管理や登用の支援ができれば収益源が広がる。

「転職の会社」から「キャリア全般を支援する会社」に変貌していけるのか。社内版ビズリーチ構想が具現化する今期は、その成否を占う意味でも重要な1年となりそうだ。

常盤 有未:東洋経済 記者

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