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西武ライオンズ改革、広報部長の「シン・広報戦略」 窯焼きピザにロン毛商品、コラボイベントの裏

東洋経済オンライン / 2024年10月3日 8時0分

野球選手のセルフブランディングにも力を入れた。赤坂氏は昨年の春季キャンプ初日の全体ミーティングで、選手や球団スタッフにセルフブランディングの重要性をプレゼンしたという。

「ファンや子どもたちにとって、選手は『憧れ』の存在です。その意識を強く持って、自分自身をもっとブランド化してほしいと伝えました。選手たちに集中して聞いてもらえるよう、プレゼンの時間は3分。監督や選手の集まるミーティングに、広報部が選手から時間をもらうのは異例のことですから、調整に動いてくれた球団職員には感謝しています」

『気品あふれるローランドさんのイメージは、居酒屋でビールではなく、高級レストランでシャンパンを頼みそうでしょ?』など、スライドを使いながら、具体的にイメージしやすい話に落とし込んだ。

そのプレゼンの甲斐もあり、エースの高橋光成投手からは早速、「ロン毛をモチーフにした商品を作りたい」と相談が入った。同じくロン毛の今井達也投手と「チームロンゲ」を結成し、かぶるだけでロングヘアーになれる「チームロンゲ なりきりヘアーキャップ」が商品化された。

広報部長の就任から1年、赤坂氏は広報部員と1日がかりの「オフサイトミーティング」を行った。

「アイスブレイクでは、キャッチボールでリラックスした雰囲気の中で行いました。それまで『シン・広報戦略』の詳細は経営側だけに説明していましたが、新参者が最初から偉そうに戦略を語っても、広報部員がともに行動してくれるとは思っていなかったので、一定の信頼を得たこのタイミングで、部員にも広報戦略のロジカルな裏側をじっくり話しました。その後、部員が広報戦略の目的を理解して動いてくれることで、この1年で組織がまとまった印象です」

今年の春からは、広報部主体で西武ライオンズ公式SNSの運用を始めた。

「広報やマーケティングに用いられる、『PESOモデル』というメディア戦略のフォーマットがあります。P=ペイドメディア(Paid Media)、E=アーンドメディア(Earned Media)、S=シェアードメディア(Shared Media)、O=オウンドメディア(Owned Media)を活用してメディアを有機的に連動させないとコミュニケーション効果は見込めないと考えました」

広報部は忍者のように、気の利いた存在でありたい

今年9月には、大の西武ファンとして知られるパリ五輪フェンシング男子フルーレ団体で金メダルを獲得した松山恭助さんとのコラボイベントを実現した。松山選手は兼ねてから始球式をするのが夢であることをSNSなどで発信しており、金メダルの受賞後、球団の公式SNSがすぐにオファーをした。

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